デルカダール王国

 エルシスが踵で馬の腹を蹴れば、応えるように馬は走り出す。
 狭い渓谷道のため、緩やかなペースで馬は走る。
 狭い洞窟の中、ユリはよくぶつからないなとエルシスの手綱捌きに感心した。

「……エマってすごく良い子だよね」
「うん」
「お裁縫上手だし」
「そうだね」
「可愛いし」
「……うん」
「結婚するの?」

 その瞬間、がくっと揺れて、ユリは「ぎゃ」と短く叫んでエルシスにぎゅっと掴んだ。
「ごめん!でも、君が変なことを言うからだよ……」

 どうやら驚いたエルシスが手綱を引っ張ってしまい、馬がバランスを崩したらしい。

「村のみんなが言ってたから……」
「あれは…っ周りが言ってるだけで、エマとは幼馴染みだし……それに、まだ僕には結婚はよく分からないな」
 困ったようにエルシスは答えた。
「私が男ならエマみたいな子と結婚したいと思う」
「うん、でも君は女の子だからね」

 エルシスがくすくす笑ったのが背中越しに伝わった。
 エルシスの肩より少し上に切り揃えられた髪がサラサラとなびく。
 サラサラな髪に秘訣はあるのかと聞いたら「何もしてない。体質」という言葉が返ってきて、エマと一緒に「ずるい」と言ったのは良い思い出だ。

「エルシスは村に出るのは初めてなんだよね?」
 それにしては堂々と馬を走らせて、たまに小さな魔物を蹴散らしている。
「うん。村の周辺なら馬を走らせたり、剣の稽古にこっそり抜け出してたけど……、もともと外の世界には憧れてたんだ。おじいちゃんも冒険者だったし――」

 エルシスがそこまで言うのと同時に、洞窟を抜けて広大な景色が二人の目に飛び込んできた。

 真っ青な空の下、遠くの山並が連なる美しい風景。
 神の岩で見た絶景のようだとエルシスは思った。
 その景色に、後ろのユリが息を呑んだのがわかる。

 前方を見ると、うっすらと小さくお城も見える――デルカダール王国だ。

「……だから」エルシスは、その景色を眺めながら先ほどの話を続けた。

「使命とかそういうのがなくても、旅に出たいと思ってたよ──」

 そして今、こうして自分は旅に出て馬を走らせている。
 馬に乗って、ロトゼタシアの広い大地をどこまでも行けそうだ。

「あ、君の記憶を探したいのも本当だよ?」
 そうつけ加えると、後ろからくすりと笑う声が耳に届いた。
「ありがとう、エルシス。私も、エルシスの使命がどんなものかわからないけど、私にできることがあったら力になりたい」

 自分にできることがあれば。
 いや、できないことでも頑張りたい。

「……実は、まだ全然実感がわかないんだ。たとえばさ――僕はテオおじいちゃんに拾われて。ペルラ母さんに育てられたけど…。本当の両親がいる」
「……うん」
「生きてるのか死んでるのかわからないけれど……。知りたいという感情がないんだ。だっておじいちゃんと母さんがいて、あの村で育って僕は幸せだったから」
「……そっか」

 エルシスの言葉にユリは気の利いた返事が見つからず、短い言葉だけ返した。
 いきなり『誰かの生まれ変わり』だと教えられて、使命があると告げらた心境はユリには測りきれない。

「――て、さっきまで思ってたんだけどね」
「?」

 エルシス声色が急におどけたものに変わった。

「今はすごくわくわくしてる。勇者とは何なのか、僕にどんな使命があるのか、今はすごく知りたい」
「えぇと……私はどの辺りからエルシスの心境が変わったのか知りたい」
「うん、本当にさっき。この景色を見て、今この世界を旅してるんだなって思ったら、自分のこととかもっと色んなことを知りたいと思ったんだ」
「…そっか」

 さっきと同じ返答をユリはした。
 でも、今度はエルシスの気持ちが分かる気がする。
 何故なら、ユリも同じように思っていたから。


 しばらく馬で走り続けた後、二人は途中で休憩を取った。

 その後、ユリは馬の乗り方をエルシスに教えてもらったり、今は馬を休憩させつつ魔物と戦っている。

「――っは!」
「えい!」

 これから旅をするなら戦いの経験を積むことも大事なことだ。
 エルシスは神の岩に向かう時の片手剣とは別に、大剣を装備していた。
 ユリが聞いたら「片手剣より攻撃力が高い」という理由だった。

 こんな大きな剣を涼しげな顔で扱うエルシスに驚く。

 一方ユリは、後方から弓を放っていた。
 手に慣れ親しむそれは、やはり自分の武器だと実感する。
 片手剣よりも得意そうなので、しばらく弓を使うことにした。「後衛にいてくれた方が僕も安心する」というエルシスの意見もあり。

「ホイミ…!」

 ユリが手をかざし呪文を唱えると、優しい癒しの光がエルシスを包み、先ほどできた腕の傷が癒える。

「ありがとう、ユリ!」
「少しは役に立てて良かった」

 しばらく二人はレベル上げをしたり、宝箱を見つけてはしゃいだりと、冒険らしいことを楽しみながら。

「そろそろ日が暮れるね。どこか安全に休める場所があると良いけど……」
 エルシスが馬を駆けらせながら言った。
 夜になると、基本的に魔物が狂暴になるので出歩かないのが旅の鉄則だ。

「あ、エルシスあそこ」
 ユリは遠くに小屋が見えて、指差した。
 すると小屋の前で、男が「おーいお前さん達!」と手招きしている。

「お二人さん、初心者だろう?」
 そう聞かれて二人は「はぁ…初心者?」と生温い返事をした。
「よし、おれがありがたいことを教えてあげよう!」
 そう言って男はぺらぺらと勝手に喋り始める。

「いいか、ここはキャンプ地なんだ」

 ここは旅人の為に作られた野営所で、焚き火ができるキャンプの跡がその目印とのこと。

「ここに置いてある火をつける道具やテントは好きに使っていいんだ。便利だろ?ただし、公共の物だ。ありがたく大事に扱えよ」
 男の言葉に二人は頷く。
「ん?こんな所でキャンプして魔物は大丈夫かって?」
 二人は何も聞いていない。
「大丈夫だぜ。あそこに女神様の像があるだろ?神聖な力を放ち、魔物を寄せ付けないんだ」

(女神像……)
 何故かユリはその女神像が心に引っ掛かり、じっと物言わぬ像を見つめた。(あとでお祈りをしておこう)

「さて、話をしてたら夜になっちまったな。サービスに俺が秘伝の鍋を作ってやる」

 その言葉に二人は喜び、男に感謝した。現金なものである。


「……お鍋おいしかったね」
 ユリは寝袋に入り、隣に同じように寝転がるエルシスに言った。
 見上げた星空がとても綺麗に見える。

「良いおじさんだったね。テントの作り方まで教えて貰ったし、今度はテントで寝てみようよ」
「うん」
「地図を見ると、明日の昼ぐらいにはデルカダールに着きそうかな」
「どんな王国か楽しみだね」
「うん、楽しみだ。……お尻痛くない?」
「……少し」
「はは、そのうち慣れるよ」
「馬に乗るのは楽しいよ」
「うん、僕も馬は好き。明日はユリが手綱を持ってみようか」
「……できるかな?」
「大丈夫だって……」
 
 そんな他愛のない会話を繰り返してるうち、いつしか二人は寝落ちしていた。


 気がつけば朝だ。


 身支度をし、ペルラから貰ったパンの残りを朝食にする。
 昨日の話のようにユリは、馬の手綱を握らせてもらうことにした。
 後ろにエルシスが乗り、緩やかなペースで野を駆け、浅瀬を渡る。

「上手上手!」
「エルシスが後ろに乗ってるからだよ」
 魔物を横目に走らせると、城が近づいてきた。
「あれが、デルカダール城……」
 エルシスが呟く。
「行こう、ユリ──」

 見張りの兵士に挨拶し、門を抜ける。
 馬を馬屋に預け、初めての城下町に二人は同時にわあと声をあげた。

「人がたくさん…!」
「色んな店もあるよ!ユリ、見てみよう」

 デルカダールの城下町は噂に聞いてた通り、大きく賑やかで活気に溢れていた。
 老若男女、色んな人が行き交い、色んな物が売っている。

「あ、エルシス見て!あれ、なんだろう?」
「ユリ!あっちで演奏してるみたいだ!見に行こう」

 二人は音楽家達の軽快な演奏を楽しむ。
 演奏が終わり、最前列で拍手を送っていると、太鼓を叩いていた男が二人に話しかけた。

「あんちゃん達、この辺では見ないカオだなぁ。……なんだって?デルカダール王に用があってここに来たって?ならこの大通りを真っ直ぐ行けばいい。ちなみに会いに行くなら昼間じゃないとだめだからな。……え?このお嬢ちゃんを知ってるかって?いや〜俺達ずっとこの町で演奏しているけど見たことないなぁ。お嬢ちゃんみたいな別嬪さんなら気づくと思うぞ」

(確かに……)
 男の言葉にエルシスはユリの横顔をちらりと見た。

 ユリは可憐に整った顔立ちだけでなく、珍しい髪色と瞳の色をしているため、その容姿はよく目立つ。
 彼女のことを知っている人がいたらすぐに見つかると思ったが――もしかしたらこのデルカダール王国とは関わりがないのかもしれない。

 そんな情報を得て、二人は一旦宿屋へ部屋を取ることに決めた。
 行くなら陽がある今だが、王に会う前に身綺麗にしたいということと、今日は町を観光し、明日改めて城に行こうとなった。
 宿で部屋を確保し、再び町を散策しながら、ユリは改めて町を見渡す。
 何も思い出さないし、何も感じない。(エルシスには申し訳ないけど、この町とは関わりがないのかも…)
 
 散策中、二人は泣いてる女の子に出会った。
 何でもメアリーという猫が屋根に上がって降りて来ないらしい。ほっとけない二人は近くの男から道具屋の上にいると聞き、そこに向かう。

「エルシスー!気を付けて!」
「木登りは得意だからまかせてくれ!」

 エルシスは得意気に言い、荷箱を足場に屋根へと軽快に登って行く。
 すると、ユリの足元に猫がぴょんと降りてきた。

「メアリー!」と女の子が嬉しそうに捕まえる。どうやら瓦に足を挟まれてたらしい。

「お兄ちゃん、ありがとう。お礼にこれどうぞ」

 エルシスは『猫砂』を貰った。

 何に使えるか分からないが、女の子の好意にありがたく受け取っておくことにする。

 その後は観光客だという男に、この王国の二人の英雄に書かれた本を一緒に探して欲しいと、何故か二人は図書館に連行された。

 三人で片っ端から探し、見つけた内容に男は満足して『ユグノア銅貨』をお礼に貰う。使い道は特にないが、売ると少しお金になるらしい。

 ――このようにら腕の立つ冒険者が頼みごとを受け、無事達成してお礼を貰うことを『クエスト』といい、世の常識らしい。(田舎育ちのエルシスと記憶喪失のユリ初めて知る)
 
 そんなこんなですっかり日が暮れ、二人は宿屋に隣接した酒場で食事をした。
 名物の鶏肉のレッドベリーソースかけはピリ辛でとてもおいしかった。


 翌日――。


 この城下町は三層になっているという。
 城下町から階段を上がり、まずは城門広場に二人は向かう。
 別名、貴族街。
 その名の通り豪華で立派な屋敷がずらりと建ち並んでいる。

「ユリ、何か思い出さない?」
「へ?」
 唐突にエルシスに聞かれ、ユリは変な声が出てしまった。
「ユリって何だか気品があるっていうか、こういう場所にいても違和感ないからもしかしてと思ってさ」
「そんなことないと思うけど……。うーん、何にも思い出さないかな。ごめんね」

 申し訳なさそうなユリに、のんびり探そうとエルシスは柔らかく笑う。
 その綺麗な笑顔に、ユリはむしろエルシスの方が貴族っぽいと思った。

 肩より少し上に揃えられた亜麻色のサラサラの髪も、淡い空色の瞳も、中性的な顔立ちも。「エルシスは女の子みたいに綺麗な顔立ちをしているね」とユリは褒めたつもりで言ったら、エルシスはご立腹だったのでもう言わないが。

 いつどこで読んだか思い出せないのに、記憶にあるおとぎ話の中の王子さま像にエルシスはぴったりだとユリは思った。(乗馬も得意だし、実は本当に王子さまだったりして……)

 奥に進むにつれ、貴族のような人達が増え。二人はちょっぴり場違いを感じ、足を早めた。

「待て!止まれ!」

 デルカダールの象徴である双頭の鷲の像を見送り、城門に近づいた途端、二人は行く手を阻まれた。
 左右に立つ門番の、立派な二つの槍が斜めに重なる。

「旅の者よ。いったいなんの用だ?」
 左の兵士に尋ねられ、エルシスは自分が勇者であることとデルカダール王に会いに来たと話す。
 すると、その場にどっと笑い声が上がった。

「ははは!ふざけたことを言うな!お前が勇者であるはずがなかろう!」
「さあ!とっとと帰れ!俺達は忙しいんだ」

 見張りのために立ってるだけなのにと、ユリは兵士たちにムッとする。
「エルシス、あの首飾りのことを話してみたら?」
 ユリの耳打ちにエルシスは頷いた。
「これを……」

 彼は首から下げていた宝石を取り出し、兵士たちに見せる。

「なに?その首飾りを王に見せたいと申すか?」
 二人の兵士はしばし顔を見合わ、何やら小声で相談しているようだ。
「………。わかった。待っておれ」
 そう言って片方の兵士が城に入って行き、二人は少し離れて待つことにした。

「……今さらだけど」
「ん?」
「私も一緒に同行して良いのかな?エルシスが戻るまで町で待っていた方が……」

 ユリは部外者というだけでなく、記憶喪失者だ。
 そんな自分が城に入るのはまずいのではないだろうかと急に不安に思えてきた。

「僕の同行者として入ればいいよ。ユリだってお城の中を見たいだろ?」
「う〜ん……見たい」

 ユリが素直に言うと「素直でよろしい」とエルシスは笑った。

「先ほどは大変失礼いたしました。国王がお待ちですので、どうぞお入りください」

 戻ってきた兵士は打って変わった態度で二人を城内に通した。
 あの首飾りは二人が思う以上に重要な物なのかもしれない。

「デルカダール王は玉座でお待ちです。お連れの方もご一緒で構わないということですので、ご案内致します」

 その言葉に良かったねというようにエルシスはユリにこっそり微笑んで、彼女も微笑み返した。

 城内は二人の想像以上に広かった。

 最初に目に飛び込んだのは赤い絨毯がひかれ、二手に分かれる大きな階段だ。
 ここにも双頭の鷲の像が飾られている。
 案内の兵士に続いてその階段を上がると、これまた広い廊下を進む。

「デルカダール王は寛大なお方ですが、秩序を乱す者にはとても厳しい。くれぐれも妙な真似はなさらぬよう……」

 大きな扉の前でそう兵士に忠告され、いよいよ二人は玉座に通された。

 開かれた部屋の中にはずらりと兵士が立ち並ぶ。
 無言の圧力。
 ユリは目立たぬよう、エルシスの後ろに隠れるように歩いた。

「旅の者よ。ようこそデルカダール城へ」

 そう挨拶したのは、右側に立つ白銀の鎧を身に纏った男だった。
 金色の長い髪を一つに結び、見目美しい容姿だったが、ちらりと確認をするようにユリを見た眼は酷く冷たく、ユリは身震いをする。
 警戒されているのだろうか。

「ユグノアの首飾りか……。よくぞ来た旅の者よ。わしがデルカダールの王である」

 その一番奥――中央の玉座にデルカダール王は腰かけていた。

 堂々とした佇まいに威厳のある髭。

 ユリの想像通りの王がそこにいる。
 低くよく通る声が部屋に響く。

「こうしてそなたが来るのを長年待っておった。ようやく会うことができ、嬉しく思うぞ。その首飾りをたずさえ、王であるわしに会いに来たということは、そなたは自分の素性を知っておろう」
 王の問いに、エルシスは無言で頷く。
「もし、そなたが本物の勇者であるならば、恐らく手の甲にアザがあるはず」
「…はい」

 その言葉に、エルシスはデルカダール王に見せるように左手の甲をかかげた。

「うむ、そのアザこそ勇者のしるし!そなたこそあの時の赤ん坊……。皆の者よ!喜べ!今日は記念すべき日!ついに伝説の勇者が現れたのじゃ!」

 デルカダール王の言葉に突然兵士達から歓声か上がり、ユリはびくっと肩を震わせた。
 エルシスも驚きながら兵士達を見渡す。

「……ときに勇者よ。そなたはどこから来たのだ?そなたをここまで育てあげた者に礼をせねばならん。教えてくれぬか」
「イシの村です。ここからずっと南にある……」
 エルシスはデルカダール王に説明する。
「なるほどな。イシという村か……。ホメロス、しかと聞いたな?」
「はい。しかと聞きました。あのような渓谷地帯にそんな村があったとは……」

 ホメロスと呼ばれたのは、白銀の鎧の男だった。
 ユリとエルシスの二人は、その名前に心当たりがある。
 町の住人の会話でも聞いたし、クエストの観光客の男の探して欲しいと頼まれた本の内容でもあった。

 デルカダール王国を代表する騎士の一人、軍師ホメロス。
 ならば、その反対に佇む黒金の鎧を身に纏った男はグレイグだろうか。

「ホメロスよ!わかっているな!?あとはまかせたぞ!」
「はっ!!」

 王の言葉にホメロスはマントを翻し、数人の兵士を連れて玉座を後にした。

 急に空気が張りつめた気がする。

 じわじわと侵食するような不安感に、ユリはエルシスの背中に寄り添った。

「エルシス……」
「うん…なんだろう……何か…」

 エルシスも同様に感じたらしく、小さく呟く。

 何かがおかしいと、二人が気づいた時にはすでに事態は遅かった。

「まさかたった二人で乗り込んでくるとは……何を企んでいるか知らんが貴様の思い通りにはさせんぞ!勇者め!」

 黒金の鎧の男がエルシスに向かって、剣を突きつける。

「グレイグよ!その災いを呼ぶ者は、即刻死刑にするのじゃ!」
「死刑!?」

 デルカダール王の言葉にユリが驚愕に叫んだ。

「その娘は共犯者として、地下牢にぶちこんでおけ!皆の者も知っておろう!勇者こそがこの大地にあだをなす者!勇者こそが邪悪なる魂を復活させる者!勇者と魔王は表裏一体なのじゃ!」

 王の言葉に、二人は言葉を失う。

 共犯者?
 あだをなす者?
 魔王……?

(なんだ?何が起こってるんだ…!?せめて、ユリだけでも――!)

 エルシスがそう思うも、ぐるりと兵士に剣を突きつけられて囲まれてしまい、逃げる術がない。

「我が王はあのように聡明なお方。勇者が何者であるか、わかっておったのだ。お前達には不運であったな。よし!この者達を捕らえよ!」

 グレイグの指示に兵士たちは迅速に従う。
 わけもわからぬまま、二人が兵士達に無理矢理連れて来られた場所は。
 王国の奥深く、地下牢だった――。





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次回、早速ゲーム沿いとは別に進みます。
お次はこの物語で三人目の主人公である謎の青年の登場!


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