1-A きのこ・たけのこ論争


「ちなみにみんなはきのことたけのこどっち派?私はきのこ!」

 その葉隠の言葉がきっかけに。

 合宿行きのバス内で、きのこ・たけのこ論争が始まった――


「えーあたしはたけのこだな〜なんかチョコがまろやかな気がする!」
「俺もたけのこ派。クッキーのホロホロ感が好き」

 芦戸と上鳴に続き、俺も私もと手を上げたのは尾白とお茶子だ。

「でも、お菓子なら一番好きなのはチョコパイなんだ!」

 値段も少し高めで贅沢なお菓子だったと思い出して、麗らかに笑うお茶子。

「あー!チョコパイもおいしいよね!」
「梅雨ちゃんは?」
「私も二つのうちならきのこだけど、一番は今日持ってきたポッキーね」

 みんなで手軽に分けられて食べられるから好きなのと笑う梅雨に。
 梅雨ちゃんらしいや〜と皆はその返答にほっこりする。

「俺は断然きのこ派!歯ごたえが好きだ」
「うん、ウチも!固めのクッキーがおいしいよね」

 切島の言葉に同意する耳郎に「俺もどっちかて言うときのこだなー」と瀬呂も同意する。

「ヤオモモは?」
「私は…実はそのお菓子を食べたことがなくて……。お菓子でしたらシャロデュエールパリのマカロンが好きですわ!」
「「(ここでもナチュラルに生まれの違いを…!!)」」

「百ちん。まずはチョコあんぱんを食べてみよう」「はい!ぜひっ」
「こらこら、ナチュラルに引き込もうとするな」

 瀬呂がなまえに苦笑いを浮かべつっこむと、続いて「お菓子に詳しい砂藤は?」と聞いた。

 皆の意識が後ろの席の砂藤に集中する。

「味的にはどっちも好きだけどよ……"個性"の関係で一気に食べやすいたけのこだな!」

 その返答に皆はなるほどと納得した。
 "個性"を基準に考えるのはよくあること。

 その後は次々と順番に聞いていく。

「飯田は?」
「うむ…お菓子なら俺はグリコが好きだったな。あのポーズをよく真似していた」
「「…!?」」

「あ、僕はヒーローズチップスが好きだったよ。ヒーローカード集めてて…懐かしいや」
「でっくんぽい!」
「俺もオールマイトのカードが欲しくて買った」
「へぇ、轟くんも!」
「エンデヴァーのカードが出た時ほど腹を立てた日はねえ」
「「………………(苦い思い出……)」」

「オイラ?オイラはもちろん…おっ」
「常闇ちゃんは?」
「「(さすが梅雨ちゃん!察知してさりげなくスルーした…!)」」

「どちらも興味がないな」
「踏陰はリンゴが好きだからナ!」
「へー意外だな。口田と障子はとうだ?」
「…俺はきこりの切株が好きだった」
「「懐かしい!!」」

「ぼ…僕はたべっ子どうぶつが…」
「「可愛い!!」」

「青山ちゃんは答えられるかしら?」
「僕は……ルマンド……」
「「ルマンド男子!!」」

「つーか、お前らきのこたけのこの二択なのに返答が自由過ぎるだろ……」

 再び呆れながらつっこむ瀬呂。

「現時点でたけのこ派もきのこ派も同票だねぇ」
「待って、爆豪ちゃんを忘れてるわ」
「よし、起こそうぜ」
「爆豪くーん!きのこ、たけのこどっち派なん?」
「(瀬呂くんも麗日さんも勇気あるなぁ)」

「…………あ?」
「爆豪ちゃん。お菓子のきのことたけのこよ。どっち派?」
「………知るか!!くだらねぇことで起こすんじゃねーわ!!」
「無回答の爆豪くんはチョコあんぱん派っと☆」
「こらこら」「勝手に決めつけるなやクソテレポ!!」


 ――結局、A組によるきのこ・たけのこ論争は決着が着かずに終わった。

(さすが二強……チョコあんぱん党を参入するには高い壁……)

 ふとなまえは隣に座る、生徒たちの始終の会話にうんざりしている顔を見る。


「………ちなみに、相澤先生はー…?」
「俺は………」
「…っ」
「さくさくパンダ派だ」
「……。え!?」


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