今日は初めてできた彼氏との映画デート♡
勝負服を着て、ナチュラルメイクして、気合いは十分!
「ねえ、凪。ポップコーン買おうよ!」
「ポップコーンって咀嚼めんどくさくない?」
「……。咀嚼ぐらいめんどくさがらないでよ」
……はあ。冒頭とのこの落差。無理矢理にでも気分を盛り上げてみたけどダメだこりゃ。
私の彼氏は、この筋金入りの面倒臭がり屋。
付き合えたことが奇跡に近いし、付き合う前からこうなることはわかってはいた。
いたけど……それでももっとこう、デートらしいデートがしたいって思っちゃうよ。
「凪、映画始まったらスマホしまってね……」
「は〜い」
なんとかデートがしたくて、あまり凪が面倒に思わなさそうな映画を誘ってみたけど……
「……zzz」
寝てるし!!
まだ一時間も経ってないのに!何より「あ、これ面白そう」って凪が観たいって言った映画だよ!?
(でも、顔は良いから寝顔は可愛いんだよね……)
◆◆◆
「せっかく凪が観たいっていう映画だったのになんで寝ちゃうのー!」
「面白そうだと思ったけど、倍速じゃないから飽きちゃった」
「倍速!?これだから今時の若いもんは!」
「どうも、今時の若いもんでーす」
凪と一緒に映画を観て、色々感想とか話したかったんだよ、私。
(それすらも贅沢な悩みなのかな……)
「……なまえ?」
「……わかった。凪がそのつもりなら私にも考えがあるから!」
「えぇ……?」
なんてったって、私には強い味方がいる!
「というわけでレオ。お願いがあるの」
「あのな、俺は駆け込み寺じゃねーんだぞ」
口ではそう言いつつも、レオはなんだかんだ相談に乗ってくれる。面倒見が良いのだ。
「で、凪と映画デートが失敗したから他のデートの提案とか?」
「ううん。凪が途中で飽きて寝ないような映画を観ればいいと思うの」
そう、これはレオにしかできないこと。
「御影コーポレーションの御曹司パワーでそんな映画作ってよ!」
「思考回路ぶっ飛び過ぎだろ!?」
どうやったらその考えに行着くんだってレオは聞いたけど、どう考えてもそこにしか行き着かないよね?
「だってレオ、お金儲け好きでしょ?」
「こらこら、人を金の亡者みたいに!……好きだけど」
「映画ビジネスって興味ない?最近ではB級映画が大ヒットしたり、夢ない?」
「…………確かに」
レオは顎に手を当て、難しい横文字をぶつぶつと呟きながら思案している。
「……わかった。俺が作ってやる」
「やったー!じゃあ凪が飽きないように倍速でよろしくね!」
「つまりはテンポよくってことだな」
そして、数ヵ月後……。
「レオが作った映画……?え、マジ?映画って高校生が作れるもんなの?」
「ほら、レオはただの高校生じゃないし」
凪とあの日以来の映画館に訪れる。
試写会と題して、映画館貸しきりで上映してくれるという太っ腹だ。
「で、レオ。どんな映画なの?」
「凪。お前の可愛い彼女に頼まれて作った、お前のための映画だ!」
「なまえが……?」
「えへへ」
問題の映画の内容は……
「タイトルは『-EPISODE 凪-』俺と凪が出会ってサッカーを始めたこの半年間をぎゅっと2時間にテンポよく収めたドキュメンタリー映画だ!二人とも楽しんで観てけよ!」
………………。
「これ、ずっと今までカメラ回ってたってこと?それとも俺たちのそっくりさん?」
「なんかちょっと思ってたのと違うけど、二人はこんな感じでサッカーを始めたんだね〜」
ある意味、映画に釘付けになった。