くちこみアルバム 「Guilty*さいごの儀式*」<レヴィ×コレ> 自ラノ手デ引キ千切ッタ心ガ血ヲ流シ、乾イタ鈍イ悲鳴ヲ上ゲル… マルデ、有刺鉄線二、全身ヲ絡メ捕ラレテシマッタカノヨウダ… 暗闇の中に浮かぶ魔方陣。その中心に立つ男は、形の良い双眸を硬く閉じ、一心不乱に呪文を詠唱し続ける。その夜の闇の如し黒髪は、短いが絹の如く艶やかで、その髪にしつらえたかの様に、漆黒の鎧と、マントと言ういでたちだ。もう、どのくらいの時が経ったのだろうか、男はさらに呪文の詠唱をする声を高める続ける。突如、男は詠唱をやめ、閉じていた瞼をカッと見開いた。黄金と緑、左右異色の瞳があらわになる。その瞬間、魔法陣はまばゆい光を放ち、男の身体は、糸の切れたマリオネットの如く、くずれ落ちる様に魔法陣の中で倒れた。 セメテ、モウ一度ダケ、オ前ニ… 巡リ逢ッタ事ガ、既ニ罪ダトシテモ… 次の瞬間、男は、とある宿屋の一部屋にいた。その部屋のベッドには、栗色の髪の少女が寝息を立てていた。なつかしい彼女のにおい…。数日前までは、ごく当り前の様に、自分の傍らにいた少女だ。男は、今やもはや不可触の存在となってしまっていた、天使の名を冠する少女に、いく度となく、禁忌の接吻と抱擁を繰り返した。そして、荒々しい欲望に身を任せた愛撫の末、氷の刃の如く冷たく、地獄の業火の如く熱い、己が楔を打ち込んだ。それは男にとって、決して実を結ぶ事の無い、狂おしき想いを、自ら葬る為の神聖な儀式だった。 やがて、さいごの朝が、やって来た …静かな×2朝だった… 窓辺から差し込む、柔らかい朝日に誘われて、天使の名を冠する少女は、目を覚ました。彼女の衣服は、全く乱れてなどいなく、むろん部屋には、自分以外の誰かが入った形跡など無かった。栗色の髪の少女は、誰にともなく、つぶやいた。「私、どうかしてるわ。あの人と契る夢を見てしまうなんて…」 そう、この感情は捨て去らなければ、いけない。何度も、自分自身に言い聞かせたはずだったのに…。何故なら、次にあの人と合う時こそは、最後の戦いになる時だから。 魔法陣の描かれた部屋の床の上で、黒髪の男は、ゆっくりと瞼を開いた。その全身には、重くけだるい感覚が残っていて、じっとりと汗ばんでいた。…まるで、情事の後さながらに。「…これでいい」男は、誰に聞かせるともなく、そっとつぶやいた…。 Fin. |