バタバタと忙しく動き回るマネージャーとしての仕事は、もう2年目となればテキパキと動けるようになっていて。

「マネージャー!予備が倉庫にあるからちょっと取って来て!」
「はーい!」

あれもしてこれもして、なんて考えがまとまらないまま走り出す。
えっと、倉庫のあの辺に置いてあったよな……なんて一瞬考えこんでしまえばいつもなら気をつけるはずの段差に躓いてしまう。

「うわっ、」

あ、やばい。なんて思った時にはぐらりと体勢を崩してあとはこのまま地面と激突……。
なんて衝撃に備えてギュッと目を閉じてもどこも痛いところはなくて。
そろりと目を開ければ、

「危なかったね、怪我はない?」
「えっ、」

不二先輩の顔は覗き込むように私を見ていて。
一瞬で思考は停止して頭の中は真っ白になる。
それでも、脳内ではいい匂いだとか顔近くない?とか。三年生組の中では小柄で綺麗な人なんて思っていたけど、意外と男の人なんだ……とか。

「…? みやちゃん? 大丈夫?」
「へ、へい……っ!」

思わず変な声が出て、色んな恥ずかしさで顔が過去で一番熱くてたまらない。
不二先輩の元から飛び退いて「ごめんなさい!」なんて口からいの一番に飛び出た言葉。

「怪我、ない?」
「は、はい! ないです!」
「ふふ、間に合ってよかったよ。段差には気を付けてね」

ドッドッなんていつもより早く動く心臓。
手を振りコートの方へ歩いて行った不二先輩の後ろ姿を見つめながら心臓の当たりを抑える。
私、汗臭くなかったかな。
思わずへなへなとその場にへたり込む。
心臓、うるさいな……。