ここから始まる


自分を否定されるのは嫌いだった。
もちろん、今でも嫌い。
好きな服や髪型を性別で縛られるのが納得できなくて自分の思うように髪を伸ばしてスカートも履いた。女の子になりたかった訳じゃない、ただかわいくなりたいと思ったのだ。お母さんもお父さんもいい顔はしなかったけれど気にはならなかった、その方が自分でいられたから。
そんな僕を、照は肯定するでも否定するでもなくただ当たり前のように受け入れてくれた。

「髪、俺が梳いていい?」

きっと世の中の女の子からしたらなんでもない言葉なのかもしれない。それでも誰かに理解してもらうことを諦めていた僕にとって、そんな言葉をかけてくれた照は確かにかけがえのない存在だった。
照のおかげで、この姿は僕の個性なんだとハッキリと言えた。
照に誘われて事務所に入って、新しい環境の中では苦労することもあったけど、変わらず照は僕の髪を梳いてくれたから僕もずっと髪を伸ばし続けた。
だんだん僕を認めてくれる人は増えていって、仲間と呼んでくれる人たちもできた。
かわいいと言われることが1番好きだけど、それと同じくらいカッコイイと言われることも好きになった。
どんな言葉も僕を見てくれた上での言葉なんだと知って、世界が広がったように感じた。


僕は相変わらずスカートを履くし髪も長くて、それを変だと言う人もいる。
でも今はありのままの僕を見てくれる人がいて、僕の気持ちを理解してくれる仲間がいる。それだけでいいと、思えるようになった僕がいる。

だからここが僕の始まり。みんなと一緒に始める、僕の新しい物語。



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