動きひとつ
「……ん?」
昼寝をしていたソファーから上体を起こした途端、手に何かが当たる。変なものじゃないだろうなと視線を追っていくと、ソファーの上に置いた自分の腕を枕にして指揮官が寝こけていた。
「おい、指揮官。風邪ひくぞ」
揺さぶっても起きやしない。よほどお疲れなのが覗く顔の白さから見て取れる。またいきなりぶっ倒れられるよりもマシかと声をかけようとして、ふと一束だけはぐれた髪に目が留まる。戻してやろうと髪を手に取ってみると初めて触れた指揮官の髪は細く、指の間をすり抜けていく感触はずっと触れていたくなるほど心地よかった。
「……何してんだ」
――寝てる女の髪いじって楽しむなんて変態みたいだろうが。
我に返ってひとりで勝手に気まずくなりつつも、髪を戻すという当初の目的をそっと遂行する。当の指揮官が起きる気配はまったくない。
「あ?」
いたたまれなさに頭をかいていると指揮官の後ろで床に落ちている毛布を見つける。きっと見かねた誰かが用意してやったのだろう。
「……ったく」
世話のかかる指揮官だこったと後ろに落ちている布に手を伸ばし――ふいに石鹸の匂いが鼻の奥を掠める。
「っ」
「ん……」
「!」
ゆるく零れた指揮官の声に起きたかと固まっていた肩が跳ねる。しかし寝言だったようで、ふたたび指揮官は寝息を立てて夢の中へと戻って行った。
――ムカつく。
自分だけが振り回されている状況に腹立ち、毛布を乱暴に指揮官の頭にかぶせた後、そのまま大股で談話室から出ていく。
結局夜寝るまで指揮官に感じた悶々とした気分は残っていた。
昼寝をしていたソファーから上体を起こした途端、手に何かが当たる。変なものじゃないだろうなと視線を追っていくと、ソファーの上に置いた自分の腕を枕にして指揮官が寝こけていた。
「おい、指揮官。風邪ひくぞ」
揺さぶっても起きやしない。よほどお疲れなのが覗く顔の白さから見て取れる。またいきなりぶっ倒れられるよりもマシかと声をかけようとして、ふと一束だけはぐれた髪に目が留まる。戻してやろうと髪を手に取ってみると初めて触れた指揮官の髪は細く、指の間をすり抜けていく感触はずっと触れていたくなるほど心地よかった。
「……何してんだ」
――寝てる女の髪いじって楽しむなんて変態みたいだろうが。
我に返ってひとりで勝手に気まずくなりつつも、髪を戻すという当初の目的をそっと遂行する。当の指揮官が起きる気配はまったくない。
「あ?」
いたたまれなさに頭をかいていると指揮官の後ろで床に落ちている毛布を見つける。きっと見かねた誰かが用意してやったのだろう。
「……ったく」
世話のかかる指揮官だこったと後ろに落ちている布に手を伸ばし――ふいに石鹸の匂いが鼻の奥を掠める。
「っ」
「ん……」
「!」
ゆるく零れた指揮官の声に起きたかと固まっていた肩が跳ねる。しかし寝言だったようで、ふたたび指揮官は寝息を立てて夢の中へと戻って行った。
――ムカつく。
自分だけが振り回されている状況に腹立ち、毛布を乱暴に指揮官の頭にかぶせた後、そのまま大股で談話室から出ていく。
結局夜寝るまで指揮官に感じた悶々とした気分は残っていた。