Dホイールの部品や生活用品が足りなくなったので買い出しをしたいのだけれど遊星は修理の仕事、クロウは配達、ジャックの金銭感覚は怪しい、ブルーノさんは来たばかりで1人だと道がわからない。アキちゃんと双子は学校がある。
というわけで、遊星とクロウに頼まれてブルーノさんを引き連れて街に買い物に来ている。(ジャックは逃げた)



「ジャックのカップラーメンは買ったし、あとはDホイールの部品だね」
「部品なら向こうのお店が品揃えが良かった気がする。ん〜でも荷物も多いし一回戻ろうよ。手ぶらで部品見たほうがいいでしょ??」


いくらブルーノさんが大きいとはいえ荷物を持つのに限度はある。私もちょっと大変だったりするので一度ポッポタイムに荷物を置くことを提案した。
こんな時、車かDホイールがあればなぁ……って私乗れないんだけど。雑賀さんに頼むのも少し違う気がするし……。

「そうだね、一回荷物を置きに戻ろうか」
「こんな時Dホイールがあれば楽なのにね〜」

2人でのんびりと噴水公園を歩いてポッポタイムに戻る。

「なまえさんはDホイールに乗るの?メンテナンスとか結構手伝ってるけど」
「昔は乗ってたんだけどね〜、事故ってから乗ってないなぁ……ちょっと怖くて」
「そっか……」
「でも、アキちゃんが乗り始めてからまたちょっと乗りたいなって思うんだ!何だかんだ言ってDホイールが好きなんだよね」

遊星達がチームサティスファクションとしてお揃いのジャケットを着てサテライトを統一している時に、知らないおじさんにDホイールを貰ったのだ。
それもジャックがシティに行ったのと同時期に事故って大破させてしまったのだけど……。大怪我をしたが幸い後遺症は残らなかった。勿論マーサにはこってり絞られた。

「ブルーノさんもDホイール好きでしょう?」
「うん、記憶喪失になってもDホイールとカードの事は覚えていたくらいだし」
「そっかぁ…」

記憶喪失というものがどれだけ辛いか私にはわからないけれど、記憶が戻るまでは彼の居場所でありたいと思う。遊星もクロウも絶対に口には出さないがジャックもそう思っていると思う。

「ねぇ、ブルーノさん」
「なに?」
「ブルーノ、って呼び捨てにしてもいい?」
「えっ」

ブルーノさんは突然の提案に驚いたようで歩みを止めた。

「嫌だったらいいけど……なんか距離があるなぁって思って、私ブルーノさんと仲良くしたいもん」
「いやじゃないよ!僕もなまえって呼んでもいい?」
「もちろん!」

これからよろしくの意味を込めてノリで握手をしようと思ったが両手は買ったもので塞がれてる事を思い出した。そういえばブルーノは左利きだったなぁ…。
ポッポタイムに荷物を置いて再び買い物に出かける。
今度はDホイールの部品だ。

「私はともかくブルーノに移動手段がないのって不便だよね」
「不便だけど僕は居候だし……」
「うーん、本格的じゃないやつなら用意できるかも」
「えっ本当かい?」

ブルーノは嬉しそうに笑う。
トラウマを克服しようと手に入れた量産型Dホイールがマーサハウスで埃を被っていたはずだ。ずっと乗っていないから大掛かりなメンテナンスが必要かも…。
そのことをブルーノに伝えると、それは僕に任せて!と頼もしい返答が帰ってきた。



足りない部品買い足して行くのだがこれが一番時間がかかった。荷物を置いてきて良かった。
隣には優秀なメカニックがいるのだ、なんでもかんでも説明してくれてとても勉強になる。

「で、このパーツが必要になるってわけなんだ、なくてもいいけどやっぱり安定感が違うんだよね」
「へぇ…そうなんだ、でもそれアキちゃんのDホイールにしか使ってないよね」
「まあ無くても性能には問題ないからね。あの3人なら安定感とか関係なさそうだし」
「うーんでもそれならWOFにはつけておきたい…気もする」

1つ1つのパーツの前で長々と談義をする。
そろそろ店員の目が気になってきたのと、日も暮れてきたのでそそくさと会計をして帰る。


「ブルーノって本当にDホイール関連詳しいんだね、あ〜またDホイールに乗りたいって気持ち膨らんできちゃった」
「ねえ、なまえ。もしまたDホイールに乗れるようになったらさ、僕に作らせてくれないかな?」
「……私に乗れるかな?」
「乗れるさ!乗りたいって気持ちが大きければトラウマも乗り越えられるよ。それに遊星やジャックにクロウ、そして僕もいるからね」
「……ありがとうブルーノ」

少しだけ、Dホイールに乗る勇気が湧いた。


(20180323)
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