(久々知視点)
今日から新学期だ。
部活がないので早々となまえの家に向かう。
今日は恐らくなまえは購買でお昼ご飯を買うだろうからそれを見越してなまえの分のお弁当も作ってきた。
いらなかったら勘ちゃんにあげよう。
育ち盛りだし食べるだろう。
なまえの好き嫌いは把握しているし、味も自信がある!そしてもちろんメインは豆腐ハンバーグだ。お豆腐から作りました。
玄関前でなまえを待つ。
チラリと時計を見るともうそろそろ出てくる時間だった。
3…2…1……、ガチャリと扉を開けて天使が出てきた。
「なまえ、おはよう」
「お、おはよう…?」
なまえは少し目を開いて驚いた顔をすると、困った顔でへにゃりと笑った。
ああああ可愛い!昨日受けた七松アタックの傷がみるみるうちに癒される気がする。かわいい。
「えっと、今日は部活ないんだね?」
「新学期だからな」
2人並んで学校へと向かう。
荷物を持つと申し出たがやっぱり断られた。
「そういえば久々知くん、入学式の生徒代表の挨拶すごかったね!格好よかったよ!!」
「えっ、あ、そ、そうか、ありがとう」
なまえの褒め言葉に突然左フックをかまされた気分だ。
まあ、なまえからの左フックとかただのご褒美でしかないのだけれど。
格好よかったよ、という言葉が何度も頭の中をリフレインする、心のICレコーダーに100万回保存した。
「なまえは今日購買か?」
「そうだよ〜、ついでに何か買ってこようか?」
優しい……天使か、いや、天使だった。
俺の天使は今日も最高です。豆腐の神様ありがとう。
「いや、お弁当を多く作ってしまったからなまえに食べて欲しいと思って」
「私でいいの?尾浜くんとか竹谷くんとかなら喜んで食べそうだけど」
「料理の感想が欲しいんだけど、勘ちゃん達の感想は何度も聞いてるからなまえの感想が聞きたいんだ」
我ながら完璧な言い訳だ。
なまえの好き嫌いは把握しているが、味の好みはまだ掴みきれていないからな。これから長く付き合うのに天使の胃袋を掴んでおかないと!!!
「そっか、久々知くんは研究熱心なんだね」
「いやぁ、それ程でもないかな」
「楽しみだな〜、竹谷くんが久々知くんってお料理が上手って言ってたから」
グッジョブ八左ヱ門!!!!!!!
クラスが違うから八左ヱ門が俺の事なんて言っているのかわからないけれど、というかクラスが同じってことは四六時中一緒って事だろうふざけるな羨ましいぞ!
いや、落ち着け、落ち着くんだ久々知兵助。
ある意味スムーズに俺の作ったお弁当をなまえに食べてもらう約束も取り付けたし、それに何より今日からクラスは一緒じゃないか。と言うことは四六時中一緒にいられるんだぞ。最高か!!!
もし一緒じゃなかったら末代まで呪うレベルなんだけれど、まあ大丈夫だろう。
「クラス替え楽しみだね、何組になるかな?久々知君は何組だと思う?」
「何組になっても、俺となまえは一緒のクラスだと思「いけいけどんどーん!!!!」「ぎゃあああああ!!!!!!」
校門の前に着いた時、目の前を七松先輩に引きずられた滝夜叉丸が猛スピードで目の前を横切った。
なまえは、玄関前で見た時よりも宝石のようなキラキラした目を大きく開けて驚いていた。さすが俺の天使、驚いた顔も可愛い。
恐らくこのまま七松先輩に強制的に体育館に連れて行かれるのであろう、滝夜叉丸は犠牲になったのだ。合掌。
「あ、朝から元気だね」
「元気過ぎるんだけどなアレは……」
七松先輩がこちらに戻ってこない事を確認して、クラス表が貼り出されている玄関に向かう。
そこには勘右衛門と三郎が立っていた。恐らく学級委員の仕事だろう。
「おはよう、兵助、なまえ。お前らのクラスはAで勘右衛門と一緒な」
三郎は俺たちの顔を見るなりそう言った。
まだ登校するには早い時間なので人もまばらで特にやる事もなく暇なのだろう。
「教えてくれてありがとう鉢屋くん。久々知くんも尾浜くんも1年間よろしくね〜」
「1年と言わず何年でもよろし「はいはいよろしく〜」
俺の言葉を勘右衛門が呆れ顔で遮る。
「鉢屋くんは何組になったの?」
「Bだ。雷蔵と八左と一緒。」
「また今年も不破くんと一緒なんだね。よかったね」
その隣で三郎となまえは朗らかに会話をしている。
八っちゃん…三郎と雷蔵のコンビと同じクラスなんて大変だなぁと呟いたら、俺の方が大変だからね!と勘右衛門から返ってきた。
何が大変なんだろう?天使と同じクラスとかこの上ない幸せじゃないか。
「そういえばさっき七松先輩に拉致される滝夜叉丸を見たんだけど、見た?」
「七松先輩は見てないけど、潮江先輩に拉致される三木ヱ門なら見た」
「……やったね勘ちゃん部員が増えるよ」
「おいやめろ」
去年拉致られた事を思い出して、勘右衛門と2人で青くなる。
バレー部に入ってくる新入生にはできるだけ優しくしようと思った。
(20180711)
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