(尾浜視点)



この前の試合は兵助が本気を出した瞬間から流れが変わってうちの学校が圧勝した。
その後は反省会やら片づけやら特に何も面白みのない時間が続くので、なまえちゃんには先に帰ってもらった。
無関係なのに付き合わすのも悪いからね。

その際に兵助がなまえを1人で帰らすなんて……!!と騒ぎ出したので、先に帰る伊作先輩と食満先輩に一緒に帰ってもらうように頼んだ。(この2人は兵助の中ではなまえちゃんにとって安全らしい)

まあ世紀末な生徒が出てきた時には流石の俺もビビったけれど、兵助が頑張ってくれたお陰で大分楽ができたから良しとしよう。
兵助もなまえちゃんに、名前を呼んでもらいたいと思ってただろうし、WIN-WINだろう。
立花先輩に邪魔はされたけれど、昼休みに「試合に勝ったら名前で呼んでほしい」とお願いしようとしてたからなぁ。



「名前を呼び合う……これはもう実質結婚だろう」
「ソウダネー」

幸せすぎて現実に帰ってこれない兵助を引っ張りながら朝練を終えて、教室に戻る。
朝練を終える頃には教室にはかなりの数の生徒が揃っていて、その中には勿論なまえちゃんもいる。

「おはようなまえ!!」

教室に戻るなり兵助はなまえちゃんのところに駆け寄った。
あれ、おかしいな。
ものすごい勢いで振れる尻尾が見える気がする、犬かな??

「おはよう、兵助くん。朝練お疲れ様」
「っ……!!」
「尾浜くんもおはよう」
「おはよ〜」

我が生涯に一片の悔いなし……!!
そう言って兵助は悶えている。
兵助が使い物にならないので、代わりになまえちゃんにお礼を言う。
抜け目のない兵助は多分メッセージアプリかなにかでお礼を言っていると思う。もしくは電話か。

「試合来てくれてありがとうね。座ってるだけでつまらなかったでしょ?」
「ううん、ルールとかまだちょっとわからないけれど楽しかったよ。誘ってくれてありがとうね」

えっ、天使……。
おっと、いけないいけない思わず兵助と同じノリになってしまった。
俺は兵助が祀り上げているなまえ教には入信していない。
どうでも良いけどなまえ教の供物は豆腐だと思う。
兵助はなまえちゃんの隣の席に座ってニコニコと良い笑顔を浮かべている。
こうやって大人しくしていると人畜無害な優等生なんだけれどなぁ。


雑談をしていると担任が来て、騒ついていた教室は落ち着き始める。
さらりと連絡事項だけを言い、再来週に控えたテストの話を始めたところで落ち着いていた教室がザワザワとし始める。

そういえば、再来週テストだっけ。
三郎や兵助は余裕だとして(勿論俺も)問題は、悩むドツボにはまった雷蔵と時々盛大にヤマカンが外れる八左ヱ門だろう。
ひとつでも赤点を取ったら先輩たちに何を言われるか……。
連帯責任で外周とかもあり得る。

(それだけは絶対に回避しないと……!!)

勉強会は、三郎は雷蔵がやるといえば来るだろうし、八左ヱ門は強制参加で、兵助は……なまえちゃんを誘えば来るかな。
なまえちゃん本人は誘えば絶対に来るからそこはいい。
あれはもうお人好しと優しさと天然さがカンストしていると思う。
先輩も誘えば勉強になるだろうけれど、不安要素の方が大きい。

先生が職員室に戻るために教室を出て行ったタイミングで、兵助となまえちゃんに話しかける。

「ねぇねぇお二人さん、勉強会しない?」
「勘ちゃん勉強会だなんて、勉強は一人でするもの……いや、まてよ」

ああ、そうだよね、兵助は1人で黙々と勉強するタイプだもんね。
兵助がいれば八左ヱ門も少しは成績が上がるというのに……。
と思っていたが、なにやらブツブツと言っている。
(内容は想像できるけれど怖いから聞こえない聞こえな〜い)

「勉強会、私もいいの?」

なまえちゃんは自分を誘うことが予想外だったと言わんばかりにキョトンとしている。

「勿論いいよ〜!」
「なまえが参加するなら俺もいく!」

はい。兵助釣れた。
そうと決まれば早速予定を詰める。
メッセージアプリで八左ヱ門達にメッセージを送るとすぐに既読がついて、八左ヱ門からは泣いて喜んでいる犬のスタンプが返ってきた。


(20191107)
戻る

ALICE+