「夢小説」をあれこれ考える


 皆様は、夢小説を読む際に名前変更機能(夢小説機能)をどのようにしてお使いになるのでしょうか。


 私は気に入っている架空の名前を入力しておりました。最近ではデフォルト設定の名前で読むことが多く、未入力では違和感のある仕様であっても、そのまま読み進めてしまいます。
 自分の本名を入力することはありません。なんだか気恥ずかしくて。

 皆様はどのようにして夢小説を楽しまれているのでしょう。
 何の変哲もない疑問ではありますが、ふと気になってしまいました。




 そもそも夢小説とは一体何なのでしょう。


 夢小説はネット小説の形態のひとつであり特に二次創作で頻繁に使用されている、というのが私の印象です。あるいは「夢小説」⊂「二次創作」≒「ファンフィクション」と考えることもできそうです。
 夢小説の特徴には恋愛要素の重視≠ニいう点も挙げられそうですね。


 二次創作といえば他に「同人誌」が思い浮かびます。同人誌は作り手がキャラクターを付加することは稀で、付加したとしてもキャラクターの名前を読者に委ねることはないような印象です。漫画もデジタル化しているので、同人夢漫画が流行する時代もやってきそうです。
 あるいは、私が時代に取り残されているだけなのかも?


 夢小説の他に、主人公の名前を入力することが求められる場面というと、RPGやアドベンチャーゲームでしょうか。


 二次創作と夢小説との関係を考えるには「ケータイ小説」の流行まで遡る必要がありそうです。ケータイ小説となると、あまり明るくないので何とも言えません(「ケータイ小説」の定義も様々な見解があるようですね)。


 テクスト論やバルトの「作者の死」といった考えを踏まえると、二次創作としての夢小説はとても興味深い存在に思えます。ファン活動における夢小説は、読み手に委ねられた解釈の幅を広く確保するための形態であるとともに、三次的な領域に触れているのではないかと思います。

 文学や芸術といった場面において、オリジナル作品と同等に模倣作品も価値あるものだと考えられていたのは随分と昔のお話です。現代では著作権や盗作問題がありますから、そうした価値観は適していないのかもしれません。
 ところが、二次創作という存在が影響力を持つ時代となれば、立場も変わっていくことでしょう。きっと現代にあった新たな芸術の価値観が確立されていくのだろうと思います。




 そんなことをあれこれと考えては、夢小説を面白い文化だなぁ≠ニ思っている反面、実際に読み手の立場になると名前変更機能を使わずに読み進めてしまいます。
 読む直前に夢主の名前を考えることが億劫になったり、あるいは書き手がその小説のためにと一生懸命に考えた名前で読みたいと思ったり、理由は様々です。

 もしかしたら、受け手と表現者とのあいだに、名前変更機能への認識のギャップがあるのかもしれません。




 当サイトの小説には、名前変更機能を実装していないものがあります。主人公の細かな描写をするために、あえて未使用で書きはじめました。
 名前変更機能を使って小説を書く場合には、構想を練る段階でそれ専用にストーリーやキャラクター、表現方法を決めておく場合が多いです。読み手に委ねる分だけ表現者の自由度は制限されることもあるように感じます。例を挙げると、英語圏の小説や映画等で見かけるような、人名と韻を踏ませた皮肉やからかいの描写です。

 名前変更機能を使いつつ、そうした表現を行えるようにするには、恐らく最初の1ページを読むまでに割と大変な入力作業を読み手に求めることになってしまうでしょう。

 例えばこの連載の場合は、
「主人公のファーストネーム(本名)」、
「ファーストネーム(偽名)」、
「ファーストネーム(本名)と音の近い短縮形(愛称)」、
「ミドルネーム(偽名)」、
「ミドルネームその2(短縮)」、
「ファミリーネーム」他、
 名前の間違いや韻を踏んだ名前弄りの描写のための設定や、綴りの描写のためのスペル……といった具合です。

 私が読み手であれば、名前変更ページの項目が多すぎると入力しないような気がします。「はやく読みはじめたい!」という感情が勝ってしまうからです(あくまでも飽きっぽい私の話なのですが)。

 そういうことで、この連載は折角の名前変更機能を使用しないまま突き進んでいます。
 ただし、飽き性に加えて優柔不断なもので、もし「どうしても名前変更したい!」というお声が多数寄せられたりしたら、突然名前変更機能を使いはじめることもあるかもしれません。


 一方で、もうひとつのジャンルの連載では名前変更機能をがっつり使用しています。やっぱり、堂々と「夢小説」と名乗れる小説を書きたくなることもありますね。
 そのためこの連載では名前弄りの描写を控えています。少しもどかしくもあります。代わりに名前変更機能の良さとして、感情移入や自己投影のしやすさを表現できるように心掛けています。




 皆様はどのようにして夢小説を読まれて(あるいは書かれて)いるのでしょう。

 もしかしたら「そんなこと一々考えないよ!」という方も多いのかもしれません。きっと、それでいいのだと思います。


 ファン同士が創作を通じて交流できる文化を、これからも大切にしたいですね。



  2020/12/19

管理人 Cassie



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