「おい、名前」

「………」

「おい」

「………」

「無視してんじゃねェぞ、クソアマァ!」

「へっ?あ、すみません」

「メテェ、仕事中に何してんだ?」

「漫画読んでました。テヘッ」

「テヘッ、じゃねーよ!」

「だって、待ちに待った新刊なんですもん」

「貸せ。んなもん、捨ててやる」

「え、ちょ、ちょっと、返してください!私のバイブル!」

「バイブルって、ただの少女漫画だろ」

「私少女ですもん。乙女ですもん。男の子を副長に置き換えて読むと、キュンキュンするんですもん!」

「…馬鹿かお前は」

「馬鹿じゃないです。恋する乙…」

「黙れ、馬鹿」

「これ、ヒロインが同級生に壁ドンからの顎クイされて、もうキュンキュンのムラムラなんですからね」

「はっ、くだらねぇ」

「くだらなくないです。壁ドン、顎クイは乙女の一生の憧れなんですよ」

「ふーん…」

「なので、今すぐ返してください」

「おい、馬鹿女」

「へっ?

う、うそ…か、壁ドンッ!?」

「からの」

「あ、あ、あ、顎クイィ!!」

「なぁ、名前」

「な、な、なんで、しょう…」

「真面目に仕事しねぇなら、またキスしてやろーか?」

「ふ、ふくちょ、顔、近っ…」

「まぁ、今度はキスだけじゃ済まねぇだろうけどな」

「す、す、すみませんでしたァ!名前、真面目に仕事しますっ!」


副長と小姓 其の三

(あー、面白ェ)
(ヤバイ、口から心臓が飛び出そう…)

20180106


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