「おい、名前」
「………」
「おい」
「………」
「無視してんじゃねェぞ、クソアマァ!」
「へっ?あ、すみません」
「メテェ、仕事中に何してんだ?」
「漫画読んでました。テヘッ」
「テヘッ、じゃねーよ!」
「だって、待ちに待った新刊なんですもん」
「貸せ。んなもん、捨ててやる」
「え、ちょ、ちょっと、返してください!私のバイブル!」
「バイブルって、ただの少女漫画だろ」
「私少女ですもん。乙女ですもん。男の子を副長に置き換えて読むと、キュンキュンするんですもん!」
「…馬鹿かお前は」
「馬鹿じゃないです。恋する乙…」
「黙れ、馬鹿」
「これ、ヒロインが同級生に壁ドンからの顎クイされて、もうキュンキュンのムラムラなんですからね」
「はっ、くだらねぇ」
「くだらなくないです。壁ドン、顎クイは乙女の一生の憧れなんですよ」
「ふーん…」
「なので、今すぐ返してください」
「おい、馬鹿女」
「へっ?
う、うそ…か、壁ドンッ!?」
「からの」
「あ、あ、あ、顎クイィ!!」
「なぁ、名前」
「な、な、なんで、しょう…」
「真面目に仕事しねぇなら、またキスしてやろーか?」
「ふ、ふくちょ、顔、近っ…」
「まぁ、今度はキスだけじゃ済まねぇだろうけどな」
「す、す、すみませんでしたァ!名前、真面目に仕事しますっ!」