一年、一秒
彼女と付き合い始めて一年。彼女が東京から離れた今の場所に移って一年。見送りの駅で告白をしたものだから、俺らは始まった瞬間から遠距離だった。お互いそれなりに忙しく仕事をしているから、二か月に一度会えれば良いほうで、まめに連絡を取っているとはいえ無性に会いたくなることがある。
大人だから無闇に会いたいと言って困らせることはしないが、丁度良い機会だ。そう思い立ってから、彼女に知らせることなく新幹線のチケットを取り、逸る気持ちを抑えて彼女のもとへ向かった。
在来線に乗り換えて、彼女の最寄りへと急ぐ。驚く彼女の顔を思い浮かべて、緩みそうになる顔を必死に抑えながら電車に揺られた。
彼女のマンションに着き、久しく使っていなかった合鍵を取り出してエントランスをくぐった。エレベーターの上昇と一緒に、心臓がバクバクと音を立てる。
部屋のドアの前に立ち、「家のドア開けてみて」とメッセージを送る。すぐに既読がついて中から鍵を開けた気配。彼女の驚く顔が見れるまであと一秒。