過去と未来を繋ぐ一日



ベッドの傍にある大きな窓を開ける。途端に冬の風が優しく吹き込んで、寝起きで火照った身体が思わず縮こまる。
早起きとした言っても今日はいつもより遅い。軽く伸びをしてから珍しくまだベッドの中で気持ちよさそうに眠る彼の前髪を払ってその額にそっと口付けを落とした。

「おはようございます、今日も素敵な一日ですね」

聞こえているかは定かではないけれど、そう囁くと自分の表情が心成しか綻んだ気がした。
何も変わりのない一日。けれど、確かに意味のある一日。百十六年前に手を繋いだたった一日。
ふふ、と小さく笑ってベッドを離れる。
さて、彼が起きる前に朝食を用意しよう。倫敦の朝は澄み渡るように綺麗で、心が弾んでしまう。鼻歌なんて歌ってみて、なんでもない今日を始めてしまおう。何でもないけれど、なんでもある幸せなたった一日を。

「締結おめでとう、昔の私たち」

呟きは朝の囀りに混ざって溶けていった。

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