幸せで残酷な現
懐かしい夢を見ました。
まだ友達と、相棒と呼ばれていた頃の穏やかで温かい、幸せな夢を。貴方は笑っていて、日差しの下で輝く黄金色は蜂蜜のようにきらきらとしていて。手を伸ばすことも、触れることだって出来る距離で、私はただ貴方の笑顔を見て笑っていました。
相棒と呼ばれる度に恥ずかしいのに嬉しくて、笑い返したこと。私の手を握り締め、街を颯爽と駆けていくこと。午後に開かれる、貴方の家の庭でのお茶会のこと。
全部、全部、覚えています。
あの手のぬくもりも、あの優しい微笑みも。
忘れたことは一度だってないのです。忘れたくても、胸に痞えた感情がいつだって邪魔をするのです。
懐かしい夢でした。
今ではもう、見ることすら叶わない、幸せだった二十年余りの蜜月。
飛び起きて、柄にもなく大声で泣いたのは何故でしょう。夢と現の境があまりにも大きすぎて感傷的になってしまったのでしょうか。
見張りをしていたドイツさんが大慌てで駆けつけてくれました。ことの異変に気付いたイタリア君が、私の背を撫でてあやしてくれました。ふたりの優しさが痛いほどに嬉しいのに、私の心はちっとも晴れてはくれなかった。そう、まるであの時見上げたかの霧の都の空のように、酷くどんよりとした雲が私の心を覆い尽していたのです。
懐かしく、幸せな夢を見ました。
けれどその夢を幸せと言えば言うほど、痛みは広がり続けるのです。だって、その幸せな夢の登場人物は、もう私の手の届かないところにいるのですから。
逢いたい、イギリスさん、貴方に、逢いたい。
敵としてではなく、ただの友として。いいえ、きっと友としてでも満足出来ないのでしょう。でも、貴方が私を友だと言ってくれるのなら、喜んでその言葉を受け容れたいのです。
幸せな夢でした。
涙は、まだ止まりそうにありませんでした。
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