滑落(キク)
冷や汗が止まらない。一瞬、たった一瞬目を離した瞬間に主とはぐれてしまい唇が戦慄く。
崖から飛び降りて捜索に向かおうとしたら杖でしこたま殴られ。文句を言おうとすればその杖を押し付けられ。解放されたと思えば今度はひとりが崖を駆け降りて後に続こうにも監視がそれを遮る。
少し冷静になって周囲を見遣れば、身内が行方不明になった面々が酷くパニックに陥っていて。
「……ああ」
これは確かに落ち着かねばならない。額を押さえて溜息ひとつ。今はこの濃霧をどうにかしないといけないらしい。
逸る足を押さえつけて、浄化の最中に襲う獣を一匹、斬り捨てた。
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