マグ



付き合うようになってお互いの家を行き来するようになって。彼の家で『Alfred』と刻印されたボウルを目の前に置かれた時、不覚にも喜びのあまりフランスに抱き着いたのは少し前の話だ。
だから俺も彼用のマグを用意しようと思ったんだけどこれが上手くいかない。雑誌と睨めっこ状態だ。

「どうせまたド派手なやつでしょ?」

カナダが呆れて一緒に調べてくれるが、もともと彼と仲の良かったカナダの案を取り入れようと思った瞬間に目につくのは俺好みのド派手なやつ。
だから違うでしょ、と肩を竦める兄弟の意見を聞こうと耳を傾ければ気になるのはまた別のマグ。

「……ok,わかった。まずアメリカが決めよう。きっとフランスさん喜ぶから」

これが妥協案だと言わんばかりの発言に少々むっとしたものの、プレゼントのセンスは好みがフランス譲りの彼に勝てる気はしない。むむむ、と眉根を寄せて好みを指差すとカナダはだよねーと困ったように笑った。首を傾げると彼は首を振る。
彼の家に置いてあるフランス用のお洒落なマグには到底敵わないけれど、俺なりに一番センスが良くて好みを選んだ。アイリスが一面に描かれた、綺麗なバイオレットのマグ。
これだからアメリカは。そう言ってカナダが喜んでたのは、多分見間違いじゃなかった。

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