中毒症状(アーサー×キク)
神様になったアーサーさんと、彼の従者として生きたキクの話
* * *
眠りに就いた貴方の顔を見るのが、とても好き。あどけない顔はとても優しくて、あたたかくて、私の心に突き刺さった棘を甘く溶かしてくれるような、そんな感覚。
さらり、その髪を撫でてみた。思いの外癖が強いそれは、金貨のような色。何と美しく、貴いことだろう。
一房だけ髪を掬い上げて、祈るようにキスを落とす。貴方が永遠に幸せで、健やかでいれますようにと。
悪夢たるナイトメアの私が願うようなことではないけれど。
「私は、貴方の幸せが欲しいんです」
例えそれが、私のせいで失われるとしても。それでも、欲しかった。私の幸せが貴方無くして存在しないように、貴方の幸せが私であってほしいなどという烏滸がましい感情。ひとつを手に入れたら次々と欲しくなってしまう浅ましさ。
きっと優しい貴方は赦してくれるのでしょう。そして私はその優しさに、甘えてしまうのでしょう。
ああ、これは麻薬だ。優しさという酷く中毒性の高い、最高の麻薬。
抜け出すことなんて出来やしない。抜け出そうとも思わない。
「病める時も、健やかなる時も……」
そんな在り来たりな文句を舌先に乗せ、もう一度だけ髪にキスをした。
願わくば、恒久の幸福を、共に。
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