其れが貴方の道標なら(キク)
怒り。怒りだ。
私の心は既に壊れてしまったのだろう。怒りと憎しみだけが心を支配し、只管に鬼と成った。
斬り、千切り、縊り、血を浴び、満たされることなどない。貴方の消えてしまった世界など、生きている意味すらない。私は既に、死に場所を探して彷徨う亡霊が如し。
けれど、貴方の声が聞こえたのです。
涙が枯れて濡れた魂の底で、あの日と変わらぬ微笑みの貴方が「生きて」と囁く声が。
生きて、生きて。
優しい声音が、愛しさと悔しさで曇った私の瞳を抉じ開ける。
私の正義など既にないのに。私は既に血に濡れて堕ちてしまったのに。
声は静かに私を導くのです。
ならば、私はその声に従いましょう。
この不完全で醜い心でも先へと奔る事が出来るのならば、泥を纏いましょう。
要らぬものを見てしまうのならば、綺麗なものを消してしまうのならば、この目すら捨ててしまいましょう。
それこそ、私の覚悟だ。
導かれた先に、貴方の差し伸べる手があるから。もう二度と後ろは振り向かない。振り向くならば、貴方と描いたこの倖せの軌跡だけ。
貴方が綺麗だと言ってくれるのだから、この魂を誇りに思おう。
抗いの先にあるのは、私が願う、ただ只管「生きる」というひとつだけの結末。
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