その先を知っている



ぬろりと口内に侵入してくる柔らかな略奪者。
鼻から抜ける甘ったるい声を、自分が出しているだなんて誰が信じるのだろうか。
柔らかく、それでいて強烈な快感をゆっくりと刻み付けられてしまうのだから堪らない。脳裏でばちばちと快楽の花火が爆ぜる。思わず指に力が籠る。
肩口を強く握ってしまったからだろうか、此方を見つめていた翡翠の瞳がとろりと細まる。それだけでぞくぞくと背筋が震え、この先にある快楽の予兆を察知してしまった。

知っている。私はこの先を知っていて、それを欲しているのだから。

ゆっくりと離れる唇に銀糸が繋がる。短く吐息を漏らして彼の首に腕を絡めた。羞恥心は捨てきれないが、早く彼が欲しいのだ。気が狂うくらいに蕩かされて、貴方のことしか考えられない程に。
イギリスさん、そう甘ったるい声で囁いて、瞼を下ろす。
接吻だけでこんなに心地好いのに、これ以上だなんて贅沢な話ではないか。

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