獣が2匹



まるで獣。本能が欲するままに貪り、喰らい、溺れる。
オリーブ色の瞳がどろどろと欲で色濃くなっていく様を目の前という特等席で味わう快楽。体液が飛び散り、揮発した汗が雄臭さを助長する。光彩が暗く、濃くなる度に俺以外を映すことを止めてしまうその余裕のなさに、笑みが漏れる。
さっきまで俺にお伺いを立ててたくせに、それすらも忘れてがむしゃらに交ざり合う。荒い吐息が理性をブッ飛ばしていることなど余裕で理解できる。

「ほら、足りねえ」

淫靡に腰を揺らして誘って、もう一度と女王様を演じてやる。そうすりゃ、こいつは喜んで飛び付いてくる。堪んねえ。
ぐちゃぐちゃに歪んだ俺という女王様。それを与えたのは目の前の男だ。
少しずつ鍵をはずして、ひとつずつ落ちていく優男の仮面を拾い集めて俺は笑う。

「Tu sei mio per sempre!」

さて、俺はこれで満足したと思うか?
……いいや、もう一回。餓えた獣は、俺も同じだから。

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