確定消すな  



 
竈門炭治郎
 鬼に殺された人を見る度に、仲間の死
を見る度にいつか私もこんな風に死ぬ時
が来るのだろうか、と考える。鬼殺隊に
長く身を置いていると、共に歩む仲間よ
り先に逝った仲間の方が自然と多くなる
ものだ。あの世で待つ仲間の元に行って
またあの頃のように笑って語らう事がで
きるのだと思えば死ぬのは怖くないが、
それでも自分の死に際を想像して不快な
気分になるのは事実だ。死に不安がない
と言ったら嘘になる。特に死に方だ。鬼
に殺されるのは別に良い。剣士としても
隊士としても全うに生きたからこそでき
る死に方だから。だけど鬼に体を切り裂
かれていつまでも意識が残っているのは
嫌だ、手足をもがれて死ぬのは嫌だ、腸
を撒き散らして死ぬのは嫌だ、どうせな
ら私だと誰にも気づかれないくらいの血
溜まりか肉片になりたい。そんな事を考
えつつ、仲間を弔う為の穴を掘っていた
私の手に誰かの土に塗れた手が触れた。
まるで私を引き止めるかのように力強く
掴んで離さない手に地面ばかり見つめて
いた視線を上げると、そこにいたのは今
回の任務で一緒に行動する事になった、
まだ鬼殺隊に入隊したばかりだという私
よりも若い少年のこちらを心配そうに見
つめる憂いを帯びた瞳だった。
「貴女から死の臭いがしたんです」



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