霞む視界の端に、見覚えのある誰かの足が見
えた。それが自分のちぎれた下半身だと気づく
よりも先に私の上半身を五条が抱き止める。
 体を真っ二つにされた私を呆然と見下ろす五
条の顔があまりにも間抜けで笑ってやろうかと
思ったけど、口角が全く動かせなかった。
 どうして五条を庇ったのか、数秒前の自分の
行動が理解できない。助ける必要なんてなかっ
たのに、それでも体が勝手に動いていた。
 五条がなんか言ってる。なんだよ、もっと大
きな声で言えよ、聞こえないんだよ。せっかく
助けてやったのにまた文句かよ。よくも今まで
人のこと馬鹿にしてくれたな、雑魚で役立たず
の弱虫で悪かったな。お前を見返す方法を私は
これしか思いつかなかったんだよ。どうだ、
 
「ざまあみろ」


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