ヤリチンせんぱ…もとい、初チン…いやもう違うな、私によって使用済みだ。済みチン?

まあそんな済みチン先輩と私は、あの日以来、ただならぬ関係になった。


もう、私の背中のほくろの数どころじゃやく、内腿のどこにほくろがあるかまで把握されている。見なくたって、ここだろ?と指で指し示される。驚いて見てみるとあってる。


さすが先輩記憶力抜群だ。


まあ。私ももう、先輩の、先輩を形成している大事な部分の形状を、臨戦態勢と休眠態勢の時の違いまでばっちし把握しているし。


これがいわゆる深い仲というやつだろうか。


きゃ。





「おい。おめぇまたバカな事考えてんだろ」

「…!先輩、エスパー!?」


学校終わりの帰宅中。
最近は時間が合えば、なんと先輩と一緒に帰ったりしてたりする。

そろそろ、先輩のファンに闇討ちとかそんな感じのやつ。されるんじゃなかろうかと思ってるんだけど。
体育館倉庫に閉じ込められたり、ゴミ焼却炉に呼び出されたり、なーんてイベントも特になく。
ありがたいことに平和に過ごせている。


私の思考を読み取ったかのようなその言葉。
横に並んで歩く先輩を驚き見上げる私に、先輩はわかりやすく大きく息を吐いて。


「その脳みその思考回路どうなってんだか、一回見てみてぇよ、本当」

「やだ先輩。もう私のあんなとこやこんなとこまで見てるのに。それ以上求めるなんてっ」


照れるー!とバシバシと腕を叩くと、ばしりと頭をはたかれた。


「おめぇ、浮かれすぎて前より頭おかしくなってるよな、きっと。つうか絶対ぇ照れるポイントおかしい。マジで」

「なんと!どこで照れればときめきますか?」

「…いや、うん。いい。もう、期待してねぇ」


さり気にひどいことを言いながらも、私の手を取ってその指を絡めてくれる。
先輩の手の指はすらりと長くて。その爪はいつも短く切り揃えられていて、滑らかで綺麗。

「先輩は指の先までセクシャルですよね!」


繋がれた手が、がくりと傾いた。


「…それ、褒めてんのか?」
「はい!すごく綺麗!こう、触れてるとドキドキします!」

「…あっそ。ま、マジシャンだからな。手は資本っつーか」


ぽりぽりと、繋いでる手の反対の手で頬をかく。そんな仕草まで様になるんだから、イケメンは末恐ろしい。













「ん?」


そんな一声と共に、先輩の足は行き先を曲げた。
手を繋いだままの私も、そのままそちらへと引っ張られる。
大通りから逸れた、人気のない狭い路地。

ずんずんと進んだその先を曲がると、空き瓶の詰まったビールケースに羽を挟まれた鳩が居た。


「やっぱし。見間違いじゃなかった」


言いながら、繋いでいた手をするりと離し。
よいせ、と屈み込み、先輩はビールケースを持ち上げていた。


挟まれていた羽根が自由になって。よろ、と鳩はよろめきながらも、と、と、と、と歩いている。
よかった。大丈夫そうなのかな?


「大丈夫かー?」


先輩がなにやら優しく鳩に話しかけながら、その羽を軽くチェックしていた。

あれ。なんだろう。


なんだか無性に鳩になりたいこの感覚。




「…骨折とかはしてなさそうだな。飛べるか?」



まるで先輩の会話がわかるみたいに、鳩はその羽を広げ、飛んで行った。

ああ。私だったらそのまま先輩の肩にでも飛び乗るのに。


「うし」


そう、満足そうにひとりごちて。
くるり、と先輩はこちらに振り向いた。


「わりぃな、急に。歩いてる途中、なんか見えた気がしたから。まっさか本当に居るとは。俺の動体視力も結構捨てたもんじゃねぇな」

「いえ。なんか、めちゃめちゃきゅんきゅんしました。あの、ほら。不良が野良猫拾う的な感じのアレで」


ぶんぶんと首をふると、おめぇのよくわからん発言にも慣れてきたなぁ、と笑って再び手を繋がれた。



「じゃ、戻るか」

「…先輩、ちょっと待ってください」

「は?」


軽く辺りを見回す。


人気の無い路地裏。
大通りを歩く人も、こちらの方へと歩みを進める人など居なくて。
帰宅途中の夕方だから、街灯も殆どない入り組んだこの場所はもう既に薄暗い。



こういうシチュエーション。

そう。

まさに、エロいことするのに御誂え向きな!!



なんかこういう所に連れ込まれてアンアンしてるエロいやつ見たことある!!



「ね、先輩もそう思いません?」

「は?」

「え、先輩、何も思わない?」



私の言葉に、期待に胸を膨らませている私の瞳を、先輩の蒼い瞳がじっと見つめてきた。








なんとなーく、言いたいことがわかったのだろうか。

繋いでいる手の親指の腹で、私の指の間をなぞるように摩ってきた。
手の中でも皮膚の薄いその部分。擦るように、そこを先輩の指が動く。
性的な動きを感じさせるその動きと感触に、ぴくり、と私の指が跳ねた。



「希夜、おめぇ俺以外の奴にこんな場所でその表情絶対すんなよ…そわそわと嬉しそうに、エロいこと期待してる、んな瞳」



言うやいなや、ぐ、と路地裏の壁に押し込まれて。
背中にあたる冷んやりと冷たい壁と、スカートの間に割り込まれた学ラン姿の黒い足。

ぐっと身体が密着していく。


きた!と先輩に顔を向けると、蒼い瞳が欲に燃えていた。


「せんぱーーっ、ふ、んんっ」


やばいですよね、興奮しちゃう!と先輩に同意を求めようとするその前に、唇を塞がれた。

先輩は私が喋ると所々萎える、とよくおっしゃるので、ここは黙って口内を蠢く生ぬるいその舌を楽しもう。
付け根の方まで、先輩の舌が絡みついてきて。激しく口内を埋め尽くすその舌は、苦しいけれど気持ちがいい。

遠くの方で車の行き交う音がするけれど。
私の耳の、すぐ近くに聞こえる音は私と先輩の息遣いと、舌を擦り合わせる粘膜の音だけで。

くちゅ、と唾液が音を立てるのを、敏感に拾いとっている。


うあ、やばいな。
背中は冷んやりとしているはずなのに、もう既に、身体の芯は熱く火が灯ってきた。
これが路地裏効果か…!


そのまま荒々しくその手が私のセーラの裾に入り込む。
脇腹あたりに触れた少しひやりとしたその感触に、びくりと身体が跳ねた。

私の動きに気付いたのだろう。その薄く柔らかな唇で私の下唇をはむりと食んだ後、先輩の口元が少し離れた。

そうして、悪戯な瞳でこちらを覗き込まれる。
きっとのぼせ上がった顔をしているに違いない私を、その瞳が映している。


「ーーやめとく?」
「…とんでもない」



そんな、勿体ないことを、私が選択するわけがない。

おめぇはそうだよなぁ。そう先輩は薄くわらって、そのままセーラーをたくし上げながら、どんどんとその指が上の方へと登っていく。









手入れの行き届いた、あの先輩の、長い指。
そこにあるだけで性的なのに、その手が、私のブラを捲り上げる。
そうして、ふにり、と私の胸に触れた。

触れらている部分に全神経が集中してしまい、息を詰める。



いつもより乱暴にわし掴まれて、私のおっぱいが形をぐにりと歪ませているのがわかる。
そのまま遠慮なく胸のてっぺんを指でギュ、とつままれた。

ひんっ、と悲鳴にた嬌声が、路地裏に響いた。


「希夜は、あれだよな。どんなエロいことにもすげえ興味津々だけどさ。結構乱暴にコトを進めっと、なんかこう、感じ易いよな。…こういうとこで乱暴にされんのが、良い、と」


ぴん、とその長いエロい指で、興奮してぷっくり膨らんでいるだろう私の乳首を弾く。

ひぁっ、ととうとう、甲高く啼いてしまって。



「ーーほら。エロい声。外だぜ、ここ」



楽しそうに笑いながら、再び口を塞がれた。
先輩の手のひらにより翻弄されて湧き出る私の声は、口内を弄る舌のお陰でくぐもったものになる。

まあ、ガンガン声あげてこんな状況で人来たら、お楽しみ中ですって看板でも立てとかないと危険だし。見られたい程露出狂な趣味はないはずだ。多分。

見られるかもしれない。そのスリルと、普段とは違うこういう空間でこんなことしてることが、多分興奮を煽っているのであって。

決して人にみられたい訳ではない場合は、どうすれば外で安全に致せるものか。
あれかな、《お楽しみ中に尽き、立ち入り禁止!》ってピンクうさぎが交尾してる絵の看板とかだと、いけるもんかな。

そんな事を思っていると、先輩の舌が私の上顎を擦り付けるように刺激してきた。思わず、縋るように先輩の腕をぎゅっと掴んで快楽を受け入れる。
先輩は、身体中の力を奪うようなキスをするのが上手い。まさしく骨抜きってやつだ。


「…おめぇはちょっと気を抜くと頭どっか変な方いっちまうかんな。なんも考えず感じてろっつってんのに」


少し唇が離れたと思ったら、ぐ、と私のスカートの間に割り入っていた先輩の足の太ももが、私の足の間、その中心部を押し上げる。


「せん、ぱ…シミが…」


やばい、ズボンに私のえろえろな液体が染み付いてしまう。
そう、その腕に必死にしがみつくと、先輩がにぃ、と口角をあげた。