闇にさらわれたかのよう


#幼少期マクギリスの教育係設定
「埋まらない年齢差」の続き


幼い頃からマクギリスの瞳は怖かった。
まっすぐなのに、何を見ているか分からない。
幼いながらも彼の圧力に負けまいと強気で接した結果、なんとか教育係の仕事はこなせた。
ただ、手段を選ばなかったのは失敗だったようで、かえってマクギリスは私に執着するようになってしまった。
月日が経ち教育係の任を解かれても、彼はことあるごとに手紙を寄こし、私の職場まで花を届け、しまいには家まで用意されてしまった。
これはまるで、愛人ではないか。
そうマクギリスに問いかけても彼は頑なに否定し、その度に私を愛している、と言う。
ボードウィン家のご令嬢と婚約している身で何を言う、と口まで出かかった言葉を飲み込んで、彼を睨みつける。
立派に成長した彼は誰が言うまでも無く紳士で、きっと女性には人気者なんだろう。
彼の真の姿を知る人間は多分、私以外にはいない。
だからこそマクギリスは私を手元に置いておきたいのだ。
自分の本性を暴露する人間を飼い慣らし、手駒とするため。

「セシル」

彼の声は魔性だ。
抗えない何かが潜んでいる。
今日も私は、麻薬のような彼から逃れるために精一杯、戦い続ける。




prev next
back