いびつな笑顔


功を焦るとロクな事がない、そんなことは誰もが重々分かっていることだった。
しかし、いざ巨人を目の前にして冷静でいられるはずがない。
巨人はセシルの家族を奪ったのだから。
案の定、ガス切れを起こして落下しかけたセシルをすんでの所で受け止める。

「オイ、メッタ刺しにして気が済んだか?」
「今いい所なんだから……邪魔しないでよ、ジャン!」
「お前なぁ、ガスも切れて替え刃もねーじゃねーかよ」
「ジャンの、替え刃余ってるでしょ。貸して」

拾い上げてやったにも関わらず、俺の替え刃を無理矢理奪おうとするこいつの脳内は巨人を殺すことしか考えていない。
自分では気づいていないのだろうか。
生気のない頬、うつろな瞳、そして、歪んだ笑い顔。
俺はお前のそんな顔をずっと見ていたくない。
あの頃の笑顔が戻る日は来るのだろうか。




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