リュックを背負い、帽子を被り、私たちは山の中を歩いていた。
生い茂る木々、川のせせらぎ。
木々の隙間からは日差しが差し込んでいる。
案内人であろう人が先頭を歩き、その後ろを私とパートナーの二人が着いて歩いていく。
小川の飛び石を渡っている途中、私は水の中に小さなカメを見つけた。
500円玉より一回り程大きな甲羅を持った、可愛らしいカメ。
気になりつつも、その時は先に進むことにした。

帰り道、再び小川へと辿り着いた私は飛び石の上にしゃがみこんで水中を覗き込んだ。
そこには行きと同じく可愛らしいカメがいた。
オスとメスが1匹ずつ。
メスのカメは何故か、甲羅と中身が分離してしまっている。
まるで貝から剥がれた牡蠣のようだ。
まぁ大したことではないが。
取り敢えず分離しているカメを甲羅の中へと戻るよう促した。
どうにかしてカメを連れて帰りたい私は、色々と考えを巡らせた。
そして、ポチ袋サイズの透明なジッパー付き袋を取り出すと、その中へ2匹のカメをそっと入れた。

[2015年7月27日]

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