白い部屋、窓からは夕日が射し込んでいた。
一組の男女が私に向かって何度も頭を下げている。
夕日が眩しいせいか、顔はよく見えないが。
それでも、とても喜んでいることは分かった。
彼らは何度も私に頭を下げ、お礼を言っているようだ。
その理由はよく分からなかったが、取り敢えず“気にしないでください”と二人を宥める。
ふと視線を移すと、病院のベッドらしきものに横たわる少年の姿が見えた。
私はそこで初めて、ここが病院であることに気が付いた。
白衣を身に纏い、聴診器を首に掛けている自分の姿。
そう、私はこの少年の手術をしたのだ。
そして無事、成功した。
彼らはこの少年の両親だったのだ。

[大学時代,自宅にて昼寝中]

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