八柳潮
一星夜霄は『偶像(アイドル)』である。
#君の人生が小説だとしたら
卯都城久瑠
彼女は贖罪を『正義』と呼んだ。
#君の人生が小説だとしたら
幸
人間の為に在ること。それが彼女の存在意義だ。
#君の人生が小説だとしたら
月調匡
君がいたから、俺は人間でいられた。
#君の人生が小説だとしたら
卯都城守里
『正義』なんて存在しないと、本当はずっとわかっていた。
#君の人生が小説だとしたら
雪鷺月香
わたしは妹の人生を奪ったのだろう。
#君の人生が小説だとしたら
伊櫻志直
「好きでこの顔に生まれたわけじゃない」そう言って泣いた姉の顔を今でも覚えている。その顔を、とてもうつくしく感じたことも。
#君の人生が小説だとしたら
白
信仰たれと、誰かがそう願った。だから、それは『信仰』になった。
#君の人生が小説だとしたら
ノア・サリバン
赤は俺が唯一識別できる色だった。たったひとつ、命の色だけがわかる。長く生きられないと幼いころから知っているのに。とんだ皮肉だと、笑い飛ばせたらよかったんだろうか。
#君の人生が小説だとしたら
月島玖烏
わがままは、なんでも叶えてもらえた。末っ子だったからだけじゃないのは、小さいころからわかっていた。たったひとつ、絶対に言っちゃいけないわがままも、幼いころからずっとわかっていた。
#君の人生が小説だとしたら
雪沫惺空
ひまわり畑の夢を見る。
#君の人生が小説だとしたら
雪t惺空
頬を撫でる風に凍えた海を憶えている。
#君の人生が小説だとしたら
雪t水鈴
自己満足に過ぎない贖罪だ。
#君の人生が小説だとしたら
雪沫水鈴
最初から壊れていた。それでも、私はこれを罪と呼びたかった。
#君の人生が小説だとしたら
ときわぎ
だれかの論ずる幸福という定義に、どんな意味があるというのだろう。
#君の人生が小説だとしたら
初春結陽
わたしはきっと、世界に絶望できない。
#君の人生が小説だとしたら
千東祢音
御伽噺のお姫様になんてなりたくなかった。泡になって消えるなんて、したくない。声が枯れるまで歌い続けたら、いつか、君に届く日が来ると信じていたかった。
#君の人生が小説だとしたら
姫柳天莉
神は在るだけで誰かを救いはしない。天使は在るだけで誰かを救いはしない。それらは概念であり、実在するものではないからだ。それでも、ある人は彼女に救いを見た。
#君の人生が小説だとしたら
ノア・サリバン
その少年は、確かにそこに君臨していた。彼は全てを統べる者だった。そうあれと誰かが願い、彼はそれに応えることで自己を確立した。
#君の人生が小説だとしたら
薄雪梗
明日なんか来なくたってよかったんだ。そう言ったら、えいくんはきっと怒るんだろう。
#君の人生の片隅に
木立瑠璃
俺の人生は惰性でできている。
#君の人生が小説だとしたら
❐ ナギ
叩いても、殴っても、蹴っても、刺しても。あの子は「痛いよ」と囁くように言葉を落とすばかりで、一度だって拒まなかった。逃げようとすら、しない子だった。
#君の人生の片隅に
葵依
伽藍堂の私にもなにか満たすものがあるのなら、君に注げるだけの愛がいい。
#君の人生の片隅に
葵依
『死』というものはあまりにも遠く、ずっと身近にあるものだった。おそろしくも、うつしくもない。その概念は、当たり前にそこに在った。
#君の人生が小説だとしたら
❐ アッシュ・ロッダ
空が青いということに、俺はずっと気付いてすらいなかった。
#君の人生の片隅に
❐ ナギ×葵依
彼女は何も知らなかった。誰もが当然抱くようなものですら、彼女は持っていなかった。淡く色付くくちびるが解け、甘く掠れた声がナギを呼ぶ。彼は彼女の熱を奪った。彼女に熱を与えたのも彼だった。
#君の人生の片隅に
藤宮久瑠
くふくふと少女はわらう。少女に救いを見た少年が、化け物を人にしたことは誰も知らない。くるくると化け物はわらう。その小さな灯火がある限り、災厄は守護として世界に存在している。
#君の人生の片隅に
瑠璃蝶
それに命はない。その心臓は何も刻まず、その指先に熱は灯らない。それでも、その人形は愛を語った。歪であろうとも、彼女の手を取る少年がいる限り、少女はそれを『愛』と呼んだ。
#君の人生の片隅に
京
本を閉じた。朝を待ち望んで目を閉じるように。タイトルのない背表紙を撫でて祈る。彼らの終わりが優しくあるようにと。そうして、明けない夜は瓦解した。
#君の人生が小説だとしたら
七瀬
ずっと覚えている。頭を撫でてくれた、大きくて優しい手のひらを。穏やかな声音で紡がれた自分を示すみっつの音を。声を失ってもなお、その猫は覚えている。
#君の人生が小説だとしたら
零
その塔には重罪人が囚われている。一族郎党の命を奪ったのちに、彼は自ら幽閉されることを決めた。
#君の人生が小説だとしたら
六花
妹は名前を与えられていなかった。母さんにあれだけ愛されていたにもかかわらず、だ。その理由は、妹と顔を合わせてすぐに理解した。俺はいつか妹を殺すのだろう。だから、俺は妹に『葵依』と名付けた。
#君の人生が小説だとしたら
黒桂
とんだ茶番だ。あの女は、どこまでも世界を狂わせるつもりらしい。自分の娘でも、息子でもない、遠く血の繋がった縹色を俺に託した女を思う。
#君の人生が小説だとしたら
湊梛岐
梛未が死んだら、おれも死ぬのだろう。漠然と、そんなことを思う。双子と呼ぶにはあまりにも似ていないのに、それは漠然としながらも、当然そうなる事象なのだと本能が理解していた。
#君の人生が小説だとしたら
雅
薄紅が舞う。その傍らに、一人の青年が佇んでいる。
#君の人生が小説だとしたら
百花
彼岸花が敷き詰められた岸辺に、その少女はいた。
#君の人生が小説だとしたら
朱迦
眠りに落ちる。鼻先をかすかな甘い香りが掠め去った。落ちる。深い眠りに、ただひたすらに落ちる。
#君の人生が小説だとしたら
千早
0と1で構築されたプログラムに芽生えた感情は、ホンモノと呼べるのか。それを定義付けることに、果たして意味はあるのだろうか。
#君の人生が小説だとしたら
茅花
少女と呼ぶには扇状的な肢体を持ち、女性と呼ぶにはあまりにもあどけない顔立ちの人形だ。白銀の髪は長く、その毛先は自由に踊って金色を纏っている。昏く澱んだふたつの金糸雀色が、ゆうるりと、ひとつ瞬いた。
#君の人生が小説だとしたら
真夜
姉は何を思って死んでいったのだろう。何を思って、俺に全てを託すことを決めたのだろう。私に世界を覆すことなど、できやしないのに。
#君の人生が小説だとしたら
灯宮
灯宮は人を愛している。害され、犯され、踏み躙られてもなお、彼女は人を愛していた。
#君の人生が小説だとしたら
灯宮くん
能天気に笑うその顔が嫌いだ。俺と同じ顔で、俺と同じ境遇で、なおも笑い続ける女のことが、俺は大嫌いだった。
#君の人生が小説だとしたら
雅
彼にとってはどうだっていいことだった。誰の幸せも、破滅も、等しく流れゆく事象でしかない。彼が唯一何か願うとするのなら、どこかの分岐で出会う青年が、自分など知らずに正しく世界に在ることだ。それさえも、願いと呼ぶには烏滸がましいことかもしれない。
#君の人生が小説だとしたら