――あ、間違えた。
 そう思ったときには、既に遅かった。カメルの目が驚いたように丸まって、困ったように眉が下がる。弁解しなくちゃいけないのに、口の中が乾いて言葉が出ない。
「だいじょうぶよ、アッシュ。あの、わたし、わかってるから」
 いつものように笑っているはずなのに、引き攣って見えるのは、俺の心理的な問題だろうか。それとも、長年の付き合いによって、表情の些細な違和感にも気付けるようになったということなのか。どちらかではなく、両方が理由かもしれない。
「違う、カメル。待って、聞いて」
「ううん、いいの。今まで、気付いてあげられなくてごめんなさい。……どんなアッシュだって、愛してるわ」
 嬉しいはずの言葉が、虚しく聞こえる。咄嗟にカメルの腕を掴むと、不安げに彼女の瞳が揺れた。
 言葉を探して、視線が泳ぐ。唇を一度だけ強く噛んで、カメルの顔を真っ直ぐに見つめた。
「俺が、女のキャラ使ってるのはそういう趣味があるわけじゃなくて、いや、ある意味ではそういう趣味なんだけど、そうじゃなくて」
「隠すことないわ。あの、……でも、わたしの服だと、アッシュには小さいかも」
 カメルは本気で言っているのだろう。わかってる。カメルはそういうタイプだ。俺がどんな趣味でも、彼女は否定せず、受け入れようとしてくれる。それは嬉しい。
 でも、今は頼むから話を聞いてくれ!