従順な癖に、生意気。本人にそういう意図はないのだろう。彼の振る舞いはあくまでも、世話焼きの範疇におさまっている。けれど、俺にあれこれと口を出すのは、ナナくらいのものだ。
 ソファで少し寝そべるだけで、ベッドに行くように促される。俺にそんなものが存在していたことはないけれど、『親』というものがいたら、そういう生き物なのかもしれない。そのようなことを、稀に思う。 馬鹿げた考えだ。人間のように生きようだなんて、思ったこともないくせに。
「ナナは、外に出たいと思わないのかい?」
 彼の肩が僅かに跳ねる。俺の質問に対してか、俺が名前を呼んだことに対してか。どちらもかもしれない。
「お前は外に出たいのか」
 ここで頷いたら、彼はどうするのだろう。全てを捨てでも、俺を外に出そうとするのだろうか。
 ああ、本当に。君はどうしようもなく愚かで、可愛いね。