彼にとって、僕は絶対的な存在なのだろう。 些細な裏切りが存在する中で、僕だけが彼を裏切らない。 アデアがそう信じていることを、僕は知っている。
彼の思考が歪んでいると気付くことに、時間は必要なかった。きっと、アデアは自分が歪んでいるだなんて思ったこともないのだろう。
ねえ、本当に気付いていないの。君のそれは、歪んでしまっているということに。
僕がなにを言っても、君はそれを真っ直ぐに受け入れる。僕は君を裏切らないから。僕が裏切らないように、君の思考が塗り替えられている。捻じ曲がっている。それを、君は、本心だと信じている。
あまりにも、愚直で、哀れな生き物だ。
「ねえ、ネモ。ネモだけは、僕を裏切らないでくださいね」
裏切りようがないよ。僕だけは、君を裏切ることができないんだから。
絶対に。