おまえは、だれを見てるんだろうねえ。そんな言葉を口の中で転がして、セリを見る。視線が合うと、少しだけ眩しそうに目を細めた。
 セリがおれに何を望んでいようと、おれには関係のないことだ。 何を望み、何を求めていようとも、おれはそれに応えるようにできている。そういう仕組みだ―――とはっきりと言えるほど、理解しているわけではないけれど。それでも、おれはきっと、そういうふうにできている。
 おまえがおれを見るから、おれはおまえの思うおれになる。だからこそ、思う。おまえが見ているおれって、誰なんだろうって。誰もでもいいよ。おれはおれにしかなりようがないから。
 でもさ、おまえを見ていると気になるんだ。 その前に映るものって、本当におれなのかなあ。 そうでも、そうじゃなくてもいいよ。どっちだって、おれには関係がないから。
 でも、でもさ。おまえがおれを誰かに見せたいように、おれだっておまえの見ているものが見てみたいよ。