魔法使いが引き摺る悔悟



「真緒、私ね」
こそこそ話をする体で、耳打ちしてきた声を鮮明に覚えている。

「凛月のことがすきなの」
そう言って恥ずかしそうに笑ったあの子は、朝露に濡れた花が楚々として開くように可憐だった。



「あー……」
朝か、と呟いた言葉が自室の天井に跳ね返って自分に帰ってきた。カーテンの隙間から差し込む陽射しは起き抜けの目に痛い。それと何だか妙に後頭部がガンガンする。風邪か?という考えが寝ぼけた脳裏を一瞬過った。しかし冷静に辺りを見渡してそうではないと気がつく。
(ベッドから落ちてんじゃん俺……)