受け継ぎ
ツイッターの診断メーカーで○RTされたら〜の小説を書くという内容で投稿したら、見事にフォロワー様達に破られたのでこちらで発散します( *ω* )ネタは以下より。
*あなたは6時間以内に9RTされたら大学生で一緒に暮らしてる設定で両片想いから告白する花礫を書く。
*あなたは3時間以内に14RTされたら、従兄弟同士の設定で両片想いから告白する朔を書く。
どちらも現パロです!※仄かに漂う病み
@花礫編
付かず離れずな程良い距離感。深く干渉しすぎることも無く、後腐れの無い関係を求める私達には適した間隔。ただその距離感があまりにも居心地良くて、結局お互いが大学生になるまでズルズルと曖昧な関係を引きずってしまった感じは否めない。別に幼馴染みってだけで付き合っても居ないのに男女が一つ屋根の下一緒に同棲して通学して、世間一般からすればおかしい事くらい分かってる。どれだけ周りから奇異の眼差しで見られようと花礫の側は落ち着くから、私は彼も何も言ってこないことから勝手に自惚れ安心して隣に居座っていたのだ。花礫も私のことを嫌いでは無く、むしろ好いてくれて居るからこそ現状に文句を垂れる事も無いのだろうと。でもこの膠着状態を保った関係にもいい加減終止符を打たねばなるまいと気付いたのは、友人に警告されたからだった。――私の存在が花礫の可能性を潰すことになるのなら、私はこの想いも二人で過ごしたこの家も、棄てることにしようと。そう決意したのに。
「どういうことだよ」
何故、私は今彼に押し倒されているのだろうか。目一杯握り締められた手首が痛い。けれど私なんかより花礫の方が遥かに痛そうで、蟠りを抱えたまま小首を傾げる。
「今話した通り、私は近いうちにこのアパートを出る。流石にここの家賃を折半することは難しくなるから、花礫も経済的に厳しいなら新しい部屋を探せばいい」
「ンなことは訊いてねーよ。なんでいきなり此処を出るなんざ…」
「私達ももう自立出来る歳なんだ。ツバメやヨタカのように血の繋がりがあるなら兎も角として、私達は単なる幼馴染み。年頃の男女が同棲だなんて、恋人でも無いのにおかしい話だと思わない?」
「別に、そんな事はねぇだろ。確かにアイツらみたいに血の繋がりは無くとも似たような環境で育ってきたんだし…今更…」
珍しく歯切れが悪くも、しかし花礫が何気無く放った言葉は私の肺腑を的確に抉った。今ので好いてくれている、なんて馬鹿馬鹿しい空想は所詮私の思い込みに過ぎなかったのだと確信を得た。家族に等しい存在として、特別扱いはされていたのだろう。でも、それだけ。そこに愛情などは実在せず、花礫にとっては腐れ縁の延長線上として付き合ってきただけだ。ならば尚更私達は側に居るわけにはいかない。家族だっていつかは離れる。
もしもお互いに恋人が出来たら色々不都合なんじゃない?花礫くんだってモテるんだし、彼女くらい居たっておかしくないよね。それなのに##NAME1##と暮らしてたらさー…。花礫の将来の足枷になる可能性だってあると私は改めて友人の言葉で考えさせられたのだ。
「私達お互いそろそろ恋人が出来たって不思議じゃない。いつまでもこんな家族ごっこを続けてたってやがてお互いの存在が妨げになる。煩わしくなる。だから…」
「……なに、お前恋人出来たの?」
「っ? 違う、いつかの話だって言って、」
「なら、好きなヤツでも出来たワケ」
詰問するような花礫の刺々しい声色に、私は肩を竦ませて身じろいだ。なぜ、私は責められているの?剣幕に怯み、うんともすんとも言えない私を花礫は更に鋭さを帯びた眼差しで真っ直ぐに射抜く。強く掴まれている手は圧迫されて上手く血流が巡らず、白くなって徐々に痺れさえ感じるようになってきた。どうすれば、と混乱しつつも打開策を冷静に張り巡らせる私に、一方で花礫は低く唸るようにポツポツと話し出した。
「……させっかよ…」
「…花礫……?」
「今更、他のヤツんとこ行くとか? …ハッ残念だったな、生憎俺はハイそーですかなんて納得してお前の恋路とやらを応援してやるつもりは更々ねーから。此処も出て行かせない、引っ越し先も徹底的に排除して邪魔してやる。それでも出て行くってんなら……手荒な手段だってやむを得ねぇよなァ…?」
「なに、言って……」
「譲らねえよ、絶対に」
雲を掴むような要領を得ない話に、訊き返しても花礫は怪しく含み笑うだけで明確な答えをくれることは無く。
私の視界は花礫の手のひらに覆われて、唇には何か熱いものがそっと触れた。
@朔編
昔はお兄ちゃんお兄ちゃんって俺の後追っかけ回してきて、頭撫でてやれば満面の笑みで抱きついてくるくらい素直で愛嬌があって愛くるしかったのに。一体どこの節目で反抗期を迎えていつの間にこんな仏頂面で無愛想な人間に育っちまったのやら。まあそんなとこも可愛くて可愛くて仕方ねえんだけど。
「##NAME1##ー、課題やったのか?」
「……親みたいなこと言わないでよ…」
「悪い悪い。でも早めにやっとかないと後で泣きベソかくのは自分だぞ?」
「つき兄じゃあるまいし」
「うっわ切り返し上手くなったなお前」
口が達者なのは俺の友人でもあり##NAME1##とも多少面識のある平門から学んだのか、あらかじめ釘を差してもあっちは鋭く図星を射抜いてきて論破する。とは言え俺も大して気にせず飄々と笑ってかわすから厄介なのはお互い様だ。悠然とソファーにふんぞり返りながらカラカラと声を上げて笑う俺に、##NAME1##は呆れたと言わんばかりの顏を見せて自室に籠ろうと踵を返す。身体の向きと同方向に翻った細い腕。その手首を掴んで、俺は華奢な体躯を自分の方へ引き寄せた。足元を縺れさせて倒れてきた身体をしかと受け止め、呆気に取られる##NAME1##もお構い無しに膝の上に乗せる。
「ちょ…なに!?」
「たまには遊びに来た従兄弟の相手くらいしろよなぁ。叔母さん達も居ないのに、客を一人で退屈させる気か?」
「、課題しろって言ったのはそっちでしょ」
「言っただろ、早めに終わらせとかないと泣きベソかく羽目になるって。俺が来る前に終わらせてなかった##NAME1##が悪い」
屁理屈!と真っ赤にのぼせた顏で暴れ出す##NAME1##を造作も無く押さえ込むと、次は矢継ぎ早に変態!スケベ!だの散々な酷評を浴びせられる。はいはい照れ隠し照れ隠し。俺の前ではそんな形ばかりの幼稚な抵抗なんて意味を成さないのにな。こんなところも可愛くて愛しくて仕方ない。―――だけど、
「……この前平門とデートしたんだって?」
これだけは、黙って看過することは出来ねえんだよなあ。突如雰囲気の変わった俺の姿に##NAME1##は怯んだように狼狽えて、心なしか青ざめた表情に俺の口角はつり上がった。
俺の##NAME1##に対する独占欲みたいな感情は##NAME1##がちっせえ頃からひでえモンだったと我ながら思う。作る友達さえごく少数の人間しか許さず、出掛ける時も逐一報告。彼氏なんて存在は認めず居たと知ったらあれこれ裏で手を回して片を付ける。##NAME1##には俺だけ居れば良い、なんて思うまでには歪んでねえけど、今でも大概捻くれてる。そんなことは重々承知の上さ。でもな?俺に秘密で、平門と二人出掛けてたって他人から訊いた時は腸が煮えくり返りそうだったんだぜ?目蓋の裏が赤く染まって、歯の根が合わなくなるほど苛立ちに震えて。必死に自分を落ち着かせて##NAME1##から事後報告でも良いから話してくれれば笑って許してやろうって思ってたのに、お前は何も言わなかった。そう、何も。
「どんだけ俺が虚しかったか…分かるか?」
「……そ、んなの知らない。私は、つき兄の所有物じゃないもの…私は、」
「…ああ、所有物じゃなく、お前は俺の恋人になりたいんだもんな?」
狂いなく言い当てられて##NAME1##が赤い顔で口を結んだ。俺の表情も自然と綻ぶ。
「俺も好きだぜ、##NAME1##。でも言うこと聞かない悪い子供には…お仕置きが必要だからな」
「……お仕置き、て、…」
「そう簡単に、俺が手に入ると思うなよ?」
最初は俺が、お前を手に入れる。
だけど俺は、誰のモノにもならない。
ただ、それだけのことだった。
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