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 向上心、と言えば聞こえはいいだろうか。同期である男性二人組のユニット『Crown』のことを、デビューしたばかりのナツはよく調べていた。ライブの情報や仕事の
 自分もそこそこの勢いに乗って仕事をできているが、彼らも自分と同じように最近ぐんぐんと業績を伸ばしている。ナツはだからこそ彼らのことをライバル視して、様々なことを調べ───そして、彼らのファンになった。
 同期としての意識はもちろんあるけれど、幼馴染だという彼らの仲の良さ、対を成す二人のキャラクター性、そしてなにより息の合ったパフォーマンス───それらはどうしようもなくナツにとって魅力的だった。金髪の青年のリュカは、ナツと同じようにアクロバットを得意としていてダイナミックな動きが特徴的で目を引いた。相方の茶髪の青年・トオルは、リュカと比べるならば多少動きが物足りないけれど、それをカバーするだけの魅せ方を知っている動きだった。指の先、足の先まで気の配られた動きは人を魅了し、惹きつけてやまない。ナツも、そのパフォーマンスを一目見て絡めとられたファンのひとりだった。
 自分とは何もかもが違う、そんな彼に───画面の向こう側のトオルというひとに、恋をしていたのかもしれない。


「ナツ! おつかれさま〜!」
「ああ、リュカ。お疲れ様」
 スタジオのスタッフが捌けていく。バラエティ番組のゲストとして呼ばれたナツは、同期のゲストとして呼ばれたリュカに声をかけられていた。ナツとリュカは最近よく組まされて番組に呼ばれる。かれとは少し前にクイズ番組で一緒になっただけだが、妙に気が合った上にファンの受けが良く、それ以来……といった形だった。
 後ろから駆けてくる彼にひらりと手を振って応じる。crownの衣装としていつもつけているアクセサリーのクラウンがずれて、