Juste moi
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爆豪くんは、私のことが好きだ。そんなふうに思ってるのは、私だけだと思ってる? ううん、残念ながら事実なんです。ばれていないと思ってるみたいだけど、爆豪くんは私のことが好きなんだ。
「爆豪くんって、私のこと好きだよね」
「あ?」
ちなみにこの「好き」は、ライクじゃなくてラブの方。私と爆豪くんは付き合っていないけれど、彼から好きが伝わってくるんだ。
勉強がわからなくて教えてくれるとき。訓練なんかでピンチのとき、一番に私の方を見てくれるとき。私が寝ているのを見てるときとか。なんで知ってるのかって、狸寝入りなんだよ、あれ。あとはそう、普段私に向ける表情とか、わかりやすい。
「苗字って爆豪のこと好きなの?」
響香ちゃんが、私の代わりにわずかに顔を赤らめながら訊いてきた。わたしは考える素振りをする。もちろん、考えてるふりだよ。
爆豪くんのことは、好き。ライクだし、ラブだ。それより上かもしれない。でも、爆豪くんは私より、私のことが好きなんだ。みんなから見ると、私が爆豪くんに向ける感情の方が大きいらしい。
「好きだよ、爆豪くんのこと」
これは、みんなはどっちの意味で受け取っただろう。でも、それより気になるのは爆豪くんの表情。みんなから見ると、「意味わかんねェ」って表情かな。でも残念。爆豪くんのこのなんとも言えない間抜けな顔って、そうじゃないの。
「ねえ。爆豪くんって、私のこと好きだよね」
さらに顔を歪めるのは、嫌悪感じゃないよ。爆豪くんの手元が、小さく爆発しかけて、爆豪くんはそれを抑えるように握りこぶしをつくった。焦ってる焦ってる。
「ンなわけあるか」
そうやってそっぽ向いて、でも私の前から立ち去らないの。ドンマイって表情を浮かべるクラスメイト、口元に手を当てるクラスメイト。あちゃー、わかる人にはわかるみたい。私だけの特権だったのになあ、爆豪くんの表情読み取るの。
爆豪くん、って、小さく呼んで、確信犯の私は上目遣いで爆豪くんのルビーみたいな赤い赤い目を見つめるの。ほらね。爆豪くんのその顔、私知ってるよ。
「爆豪くん、クソ可愛いって顔してる」
私が図星を突くと、爆豪くんは、まさに鳩が豆鉄砲をくらったみたいな、そんな顔で私を見てから、軽く頭を小突いた。
2022.10.22