姪っ子審神者

「向日葵畑では手を離すな」と言っていたのは則宗さんだったか、三条の誰かだったか。
遊ぶのに夢中になっていつの間にか向日葵畑に迷い込んでいた。

隣には誰もいない。

1人でいることが何となく怖くなって立ちすくんでいると「おーい、何処だ〜キミー」と誰かを探す鶴丸の声が聞こえた。
「つる!ここだよ!こっち!」と返事をするように声を上げると「そこに居るのか」と確かめるような声が返ってきた。

居てもたっても居られなくなり鶴丸の声のする方に向かおうとするも自分の背丈よりも大きく育った向日葵たちに阻まれて一向に近付いている気配はない。
だんだん不安になって「こっちだよ、早く来て、つるまる」と一際大きい声で呼びかけると「嗚呼、今来た」とすぐ後ろで声がした。


そう言えば、鶴丸は今則宗さんと共に遠征に行っていたんじゃないか?
だから今日は短刀たちに混ざって隠れ鬼をしていたのだ。
わたしは何に返事をしたのか、今後ろにいるのは。

「ふりむいてはいけません!」

は、と顔を上げると焦った表情の今剣がいた。

「てをはなしてはいけないといわれたでしょう!」
「ごめんなさい......」

泣きそうなわたしを見て今剣は安心させるように「かえりましょう」と笑ってわたしの手を取った。

2人で向日葵の海を掻き分けていく。

声はだんだんと遠くなり、そして聞こえなくなった。
「なつのはなはみな、さみしがりですから」と振り向かないまま呟いた今剣に、心の中でわたしもそうだよ、と返事をした。


向日葵畑


「ってことがあったな、本丸に来たばっかの頃」
「は?待て、聞いてないぞそんな話」
「俺も聞いていないが」
「だって言ってないし......」


短編