共同生活のあれやこれ
4話後のお話でss二つ。生理ネタ含みます。苦手な方はご注意を。
朝目覚めて、まず最初に感じたのは下半身に感じる不快感、そして腹部と腰に走る鈍痛。
もう何度も経験したことのあるそれに、セレナはため息をひとつついた。言い訳にしかならないが、急に変わった生活環境に慣れるのに必死で忘れていた。
はあ、と青息吐息。
不幸中の幸いというか、生理用品はかなり前から消耗品ではなく半永久的に使えるものに変えていたため、そういった点で困ることはないだろう。
(でもこれでピッコロくんの邪魔になればそのまま放逐、最悪始末されるかもしれないな)
なんて考えがぼんやりとした頭に浮かぶ。
そっと起き上がって辺りを見回すと、先に目を覚ましていたのか、ピッコロの姿は見当たらない。ピッコロがいない今のうちに汚してしまった服を取り替えるべく、セレナは近くの水場へ向かって歩き出した。
慣れた手つきで処理を済ませ、元の場所に戻ってくるとちょうどピッコロも戻ってきていた。
おはようございます、と一言挨拶をすると、ふん、というような反応が返された。
いつもなら気にならないその態度が今日ばかりはひどく不愉快に感じて、思わず顔をしかめそうになった。
はー、と息を吐き、顔を上げた時には既にピッコロは歩き出していた。慌ててついていくも、セレナの足取りは重い。
じんじんと痛む腰を摩りながら歩いていたら案の定、ピッコロに問い詰められた。
まさか生理です、と馬鹿正直に答えるわけにもいかず、引き攣りそうになる顔を抑えながらなんでもないです、とはぐらかす。
頑として口を割らないセレナにピッコロも我慢の限界が来たのか、ピッコロの額に青筋がいくつか浮かびかけたところで、観念したセレナが一言、生理ですと言った。
しばらくの間、沈黙が降りる。
(ああこれ消されるパターンだ)
と俯いたセレナだったが、ピッコロから何の反応もないのに疑問を感じてそろり、と顔を上げた。
目の前には心底からわからない、という顔をしているピッコロ。
まさか、とセレナの脳裏を嫌な予感がよぎった。
「生理とはなんだ」
今度こそ、セレナの顔がぴしりと凍りついた。
後に、「まさか、少年の姿をしたピッコロ大魔王に、生理について説明する時が来るとは思いませんでした」とセレナは苦笑しながら語った。
ただ、その後生理が来るたびにあまり厳しい行程は控えるようになったので結果オーライである。
***
(なんだか最近のピッコロくん、機嫌悪いときが多いな……)
夜、その日の修行を終え、地面にどっかりと胡坐をかいて座るピッコロを見ながらセレナは思う。
そっとピッコロの顔を窺えば、ぐっと口を引き結び、眉間にしわを寄せて目を瞑っている。纏っている空気も心なしかピリピリしていてとげとげしい。
なにかあったのかな、とここ最近のことを思い返してみるも、特に思い当たることはない。翌朝には機嫌が直っていることも多いので益々わからない。
どうもピッコロには修行でその力を奮うことでストレス発散をしているような節がある。場合によってはこちらにも危険が及ぶことがあるため、セレナとしてはできる限り機嫌を直してもらいたい。
しかも最近は体も大きくなり始め、修行の成果もあいまって力も増えたのか、暴れるたびにとんでもない被害が出るので洒落にならない。
(……ん? 体が大きくなった?)
もう一度ピッコロに目をやる。出会ったときに比べてかなり背丈が伸びて、体格もしっかりしてきているように思える。
もしかして、とセレナの頭にある考えが浮かんだ。
早速立ち上がり、がさごそと荷を漁る。
取り出したものを手に、ピッコロの元へ近寄ればいつもよりだいぶ鋭い視線が浴びせられた。
「ピッコロくん、膝や足首が痛むならこれ使うといいですよ」
と言って、お湯を入れたペットボトルにタオルを巻いただけの即席湯たんぽを手渡す。
「それだけの速さで成長してるんですから、成長痛も凄いはずです。暖めると多少はましになると思うのでよかったらどうぞ」
ぽかんとしているピッコロにそれだけ言うと、セレナは背を向けて横になった。
セレナ自身、育ち盛りのころは随分と成長痛に苦しめられたため、対処法は知っていた。使ってくれればいいな、なんて考えながら眠りにつく。
翌朝、渡した即席湯たんぽが返ってこなかったことから、使ってはくれたらしい。事実その日からピッコロが不機嫌になることが減ったため、よかった、とセレナは微笑んだ。
※当たり前ですが生理痛・成長痛には個人差があります。作中の対処法も管理人の経験上のもので、医学的根拠はありません。鵜呑みにして問題が発生しても管理人は責任を取りません。