ぎゅ、と眉根が寄ったゾロに固まってしまう。
「チョコはないけど、ちゃんとゾロにはお酒用意してるよ」
みんなに大好きと感謝のチョコを渡したのに一人だけ仲間外れになったと思って傷付けてしまったんだと今更気付いて慌てて言い繕う。ゾロはこういうイベントにいつも乗っからないし、甘いものも食べないし、もともとお酒だから夜に渡そうと思ってて、だから忘れたわけじゃないんだけどゾロからしたらそんなのわからなくて傷付くのは当たり前で焦る。
「ご、ごめん、夜にゆっくり飲んでもらおうと思ってて、先に言えば良かったね、ごめんね」
「……チョコはねェのか」
「? ? だ、だってゾロ、チョコ、嫌いでしょう? だから代わりにお酒、」
説明が通じていないのか、何度も同じことを聞くゾロに混乱する。お酒用意してるの、嘘だと思われてるのかな。お酒もちゃんと女部屋に隠してるし、今すぐとってきて渡すこともできるけど今それをするのは間違っている気がして口籠る。今ゾロがほしいのは贈り物じゃなくて仲間はずれなんかじゃないという確信だと思う、から。
「……おれは、チョコがほしかった」
「……で、でも、ゾロ、甘いの嫌いで、」
私の言い訳を遮って言われた、ほしかった、という何度目かの催促に、小さく謝ることしかできない。
「お酒じゃ駄目? ……もう材料、なくて、……」
「……じゃあ代わりに酒飲んでる間はずっと一緒にいろ」
妥協してくれたゾロにこくこくと何度も頷く。だけどやっぱり眉根は寄ったままでゾロの気持ちが晴れたわけじゃない。申し訳なくて縮こまったまま、そろそろとゾロに近付いて緑の布をぎゅっと掴む。
「…………酒飲む間だけでいいぞ」
「やだ、……ゾロのこと、傷付けちゃった。ゾロのこと、仲間外れにしたわけじゃないよ、……ゾロに喜んでほしくて、お酒買ったの、……だから、」
「…………まあ、……ある意味おれだけ特別仕様なんだよな」
俯いていた頭に、ふ、と吐息のような笑い声が降ってきて反射的に顔を上げる。ゾロが時たま見せてくれる晴れやかな笑顔ではなかったけど、仕方ないな、と甘やかしてくれる時の笑顔が浮かんでいてずっとちくちく痛んでいた心臓が変な音を立てながらも痛みが癒えて私の頬もほんの少し緩む。
「来年はチョコ、おれにもくれ。……甘くねェやつとかもあるんだろ、……甘くてもお前がくれるもんならおれは食えるし、欲しい」
仲直りできたことが嬉しすぎて、うん、と頷く前に勢い余って抱き着いてしまったけど、私なんかの勢いじゃ少しもぶれなかった体幹に安心して今度こそ声を出して頷いた。