貧民街での生活1
ゴトゴトゴトゴトッ
『(これは・・・?)』
ディオ「なんに使うんだろうな」
でお君がパン屋さんの売り子をしている最中に、猫の僕は店の中に入れないので、ちょっと離れた道の端で他の猫と日向ぼっこしていた。
最近の観光客について話していると、朝の販売の仕事が終わったでお君が箱を持ってきて僕らの目の前に置いた。
他の猫たちは驚いたのかすぐさま小路の隙間に逃げて行ってしまった。
『にゅ?(それは、猫じゃらし?)』
ディオ「いや、近所の婆どもが、晃を買い始めているからと猫のおもちゃをくれたのだが。
何か売れるものは無いかと思って適当にもらってきたが、どれもこれも使い古しのボロだな」
一つ一つ手に取って見てみると、箱から出てきたのはボソボソの猫じゃらしやボールが出てくる。
でお君の袖に引っ掛かって、跳ねてきたボールを猫パンチででお君にはじき返すと、片手でキャッチしてくれた。
ディオ「・・・」
『・・・?』
ぽーん!
パシッ!
何を思ったか、でお君はもう一度僕にボールを投げてきたので、さっきと同じように猫パンチで返してみたら、また綺麗にキャッチされた。
ディオ「(ボール遊びが気にいったのか?)」
『(ボール遊びが気にいったのかな?)』
今度は、僕より少し離れたところにボールを投げられたので、後ろ足でジャンプして空中で猫パンチを食らわせ、でお君の元にはじき返した。
『(・・・楽しい!)』
ディオ「・・・」
楽しくなってきて、四足で体制を低くしながら、ボールを持ったでお君の手が左右に動かされるのを顔で追う。
上から、ふっと笑ったような声が聞こえてきたと同時に、さっきとは逆方向に投げられたボールを、猫特有のばねを生かしてジャンプし、ノーバウンドではじき返す。
着地前に綺麗に一回転して、すぐさまでお君の方を見ると、今度は反対方向に向かって投げたので、すぐさま飛びかかって回転をしながらボールをはじくと、大きく山を描きながらでお君の手に見事戻る。
『にゃー(おお!猫ってすげー!
「「「「パチパチパチパチ!」」」」」
Σ!!』
いつの間にか周りには観光客らしき子連れの客で囲まれていた。
ディオ「晃・・・二個ずつでもいけそうか?」
『にゃー(コクン)』
空にした箱を観客の方へと置くと、でお君は両手に二個ずつボールを・・・。
Σ二個ってそういう!?それは四個と言わないでしょうか!?