Memo

2018/04/01 12:00

もし雲雀恭弥に妹が居たら
ジャンル : 家庭教師ヒットマンREBORN

雲雀恭弥にもし妹が居たらのお話。

若干主人公ちゃん雲雀さんに過保護ではないけど依存気味


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度々兄は大怪我をしてくる。ただの不良の喧嘩ではなく普段の兄ならしないような大怪我を。
理由はただムカツク相手を咬み殺しただけと最も兄らしい返答を残すだけで私にはなんにも教えてくれないのだ
昔から仲良くしてくれた草壁も何だかんだ言ってぼかすから尚更気になるのは無理もない(ちなみに私が草壁という呼称は本人に頼まれた形である)


今日も畳の匂いが香る私室で窓から映る大きな月を眺めて居る私はただ兄の帰りを1人を待つ

兄が家に帰って来なくなり3日が経った。電話を何度かけても出ないのだ。兄にとっては私の想い、いや…存在が重い枷となり邪魔な存在かもしれない。だからこそ、遠慮はしているつもりだった。それこそ緊急事態以外は掛けないし掛けるつもりはない
でも今回は嫌な予感がするのだ、どこか命の危険にあっていそうな、いっぽ間違えれば一生会えないような……そんなあてもないなんの根拠もない勘だけど

だがこんな時の兄弟に関しての感は皮肉なことに当たるのだ


「兄さん、どこにいるの」


月の光を遮るように手を翳すとどこからともなくロケットらしき物体が飛んで来て、避けようと思えば避けれた。でもこれで死ねるならもういいやと半ば投げやりでじっとしていたらぶつかる衝撃と共に煙が辺りに充満したのだ、その恐怖から逃げる様に私はふっと意識を闇に落とした



*



「ぁ、」


パチと目を開けると真正面には大人っぽいけれど確実に兄と分かる人物がいて驚愕する。本当に比喩とかじゃなくて幼さが全体的に抜け大人びているのだから。キリッと整っている顔が最後に見た顔より完全に大人で兄さんだと分かるけど別人のようでかなり違和感ある
そして私はその兄さんらしき人の膝を枕にしていたことに気付き咄嗟に起き上がろうとするが額を兄さんの細いけれど男っぽさは充分ある指で抑えられた為起き上がれない


「体調は?」

「え、と…平気。兄さん…だよね?」

「そうだよ。まぁ10年後、がつくけど」


10年後、?と頭で理解しようとするが意味が分からない。だけど兄さんは無情にもこれは事実だよと告げた
兄さんはそんな冗談を言わない、だからこそとりあえずはここが10年後の世界だと認識せざるを得なかった


「1度しか言わないけどこれから話すことは全て事実だ」

「ん」


そして聞いたのは途方もないおとぎ話のようなどこか作り物めいた話で目を白黒させながら聞いていた
沢田綱吉なる男が中学1年の頃に兄はマフィアに、7属性あるうちの雲の守護者として入ったらしいのだ。だがそのマフィアの名前が問題だった、それを聞いて私は今にも殺到しそうだが兄はそれを許してくれそうにもない
私は並盛中学校に入っているがいわゆる不登校で形式上風紀委員に入っている。その為兄に内緒で世界中のマフィアやヤクザ、名のある不良集団の存在と関係は頭に叩き込んでいた。兄さんが武だったら私は知。ネットでしがない情報屋をしていた

その知識の中でも巨大なトップとも言っていい。イタリアンマフィアのボンゴレという組織に所属して10代目の守護者(まぁ10代目を護るということが役割らしい)だという
今の戦闘の主流は銃火器では無く炎だというのも聞いた。(私がこれをしなかったのは国外の組織に全く関心が持てなかったからだ。これからは視野をもっと広めなければいけないなと思った)

そして今は私は10年バズーカという10年後の未来へ人を飛ばす兵器に巻き込まれ私はここにいるのだと言った

じゃあ、元の世界(10年前)ではもう既にマフィアに入っていたということで…余計な詮索はしなくて良かったと心底思った
だってそれは兄に負担をかけることに繋がりかけないからである。兄がヤワではないことは知っているが1ミクロンでも私のことを負担にかけたくない

それに10年後も兄さんが生きていることを示していて、私はその事実に1番安堵した。だから兄さんに抱きついたのは不可抗力だ
だって兄さんは変わらず生きてるんだもの


「にいさ、!」

「今日だけだからね」

「っん」


本当に私が辛い時にだけ抱きついても文句を言われない。そもそも平常時は抱きつこうとすら思わないから
離したくないな、そう思うと腕に力がぎゅっと入り兄さんはそれに多少びっくりしたようだった


「そろそろ離れて。君を連れていく所がある」

「うん。どこに行くか聞いてもいい?」

「沢田綱吉の所へ、それとここの戦い方を教えれる場所」

「沢田綱吉…写真では見たことあるよ。その人がマフィアのボスなんでしょ?攻撃してもいいよね」

「出来るのなら殺ればいい。でもアレは僕の獲物だから」

「ん、私の刀は」

「そこにある」

「ありがとう」


ゆっくり離れて私の使用する武器である日本刀を持つと柄の部分にチェーンと指輪がかかっていた。それを兄さんにどうすれば良いのか聞くと指に付けろとのこと
あまりゴツゴツしたのは好きではないけどしょうがない

部屋を出るとどこかへ向かう兄さんを後ろから追いかける。するとどこからか誰の声かは知らないが聞こえてきた
あぁ、やだな、私の唯一の兄さんをボンゴレなんていう物騒なマフィアに引き込んだ沢田綱吉、気に食わないなぁ、
取り敢えず今の苛立ちを沢田綱吉へとぶつけたかった
兄さんの邪魔にはなりたくない。でも、その他なら何をしても許されるよね?クスクスと口元を隠した

部屋の入口を見ると炎を灯した男の子とマントを着た女性。周りには数名の男の子、沢田綱吉ってアレだよね?と兄さんに目線を送るとちらりと視線が外された。やはりオレンジ色の炎を灯しているのが沢田綱吉らしい
肩に小さなハリネズミを兄さんに乗せられ私は彼に刀を鞘に納めたまま踏み込む。すると一瞬反応が遅れていたが髪を掠めギリギリの所で交わされ舌打ちを零した
機動力なら自信はあったのに、こんなダメツナと呼ばれていたやつに避けられるなんて
沢田綱吉スクールカースト最下層とも言えるなにをやっても出来ない男。だが戦闘能力は確からしい


「ロール行って」

「っ!」


兄さんに教えてもらったハリネズミの名前を呟くときゅー!っと可愛い声を上げて回転しながら飛び込んで行った。兄さんは私が名前を呼んだら行くように命令していたようだ
賢いハリネズミに目が細くなる、私は動物が好きなんだ。兄さんに懐いていたヒバートも私に懐いてくれて嬉しかったなぁ……

兄さんの後ろに移動し、沢田綱吉の動きをじっと観察していた。額と両拳に炎を纏い戦闘能力はあるし伸び代もまだまだありそうだな。どういう原理かは分からないけど拳から兄さんの放ったロールを氷らせて行くが紫色の棘のついた雲が徐々に沢田綱吉を被っていく
どんどん氷らせようとするが、それ以上に紫色の物が沢田綱吉を球体のようにして囲んでしまった

正直拳や額から炎をだすのも、紫色の雲もよく分からないし理解出来そうにないが紫の炎には兄さんの気配がした


球針態絶対的遮断能力を持った雲の炎を混合した密閉球体。これを破壊することは彼の腕力でも炎でも不可能だ
密閉され内部の酸素量はかぎられている。はやく脱出しないと__死ぬよ」

「ふざけんな!!てめらーら10日ぶりに現れたと思えば10代目を殺す気か!!出しやがれ!!」

「弱者が土に返るのは当然のことさ、第一沢田綱吉を殺す理由があっても生かしておく理由が僕にはない」


ぎりっと歯を噛み締める銀髪できゃんきゃん喚く男は…確か獄寺隼人に、隣にいる好青年っぽい短髪の男は山本武か。2人とも写真や映像では見たことがあったが実物は初めて見た
するとここには不釣り合いな赤ん坊(兄さんよりも強いって子かな)それが現れた。でも聞いていた黒スーツに頭には黒の帽子を被りそこにはカメレオンが乗っているらしいが……

この赤ん坊は全身タイツのようなものを着ておしゃぶりが胸元、カメレオンが頭に乗っている
あっているのはカメレオンだけなのだが大丈夫だろうか


「んじゃあオレ達も修行始めるか」

「ま、待ってくださいリボーンさん!!このままじゃ10代目が!!」

「分かってるぞ。だからこそヒバリなんだ。歴代ボスが超えてきたボンゴレの試練には混じり気のない本当の殺意が必要だからな。それと女の方はヒバリの妹であってるか」


こくりと頷き静かに頭を下げると目を見張る人物が複数いた。やはり兄さんは私の存在を明かして居ないようだ。そしてピンクの髪色をした女が獄寺隼人をどういう原理か視線を合わせるだけで気絶させどこかへ運び、山本武はリボーンさんと呼ばれる赤ん坊について行った


「兄さん、私は何をすればいいの」

「そのリングに火を灯せたらその火を武器に纏わせることが出来ればいい」

「ふぅん。それが出来ればいいの?」

「どういうつもりだ、そんな簡単に火を灯すことなんて出来るわけないだろう!10年前と言えばそいつは何も知らないはずだ!」


首を傾げたまま兄に問うといつものようにあっていた視線を逸らされた。それであっているらしい。でも髪の長く顔にアザがある女は兄さんに、ぐたぐたと吠えている

女が兄さんに話しかけてんじゃねえよ咬み殺すぞ

つい口からそんな言葉が出そうになるが理性で押しとどめる。この女は強いだろう、だけど兄さんの名誉のためなら死んでも勝つ。まぁ本調子でないであろうこの女に負けるつもりは毛程もない
それに火を灯すことが出来るようになれば女を文句を言わないだろう。言わせもしないが


「灯す手掛かりは」

「覚悟らしいけど僕はムカツキだね」

「ふふ…兄さんらしいや。でも覚悟か、それなら簡単だね」

「なに!?」


目をつぶり意識を集中させ、グッと指輪へとその意識を向けた。

大事な者を、守る覚悟

それが私の覚悟だ

瞬間指輪には死ぬ気の炎と言われる物が灯った


「ほら」

「あり、えん…、どういう事だ……?そいつは一般人だろう」

「一般人?嘘はよしてよ。私は風紀委員長雲雀恭弥の妹だよ。これぐらいのこと出来ないと兄さんの妹なんて務まらない」


笑いながら言うと目を丸くさせる草壁と女が居た。そしてふむ、と顎に手を当てた女は私の方に手を出した


「…なるほどな。お前の名前は?俺はラル、ラル・ミルチだ」

「礼儀のある方は嫌いじゃない。雲雀××です。よろしくお願いします」

「ほう、ここでは珍しいな。礼儀がなっている」

「私はただ強い者には敬うだけ」

「ほう…私は強い、と?」

「貴女は強い、今の貴方には負ける気はないけれど」

「言うではないか」


ニヤリと笑った私にラル・ミルチも同じように笑う。兄さんは面白くなさそうである
確かに私は兄さんが好きだ。でも自分の行動に反対されたり他人から指図されるのは嫌いだ
そこは兄さんと私、兄弟らしい共通点とも言える

まぁ兄さんは私が群れていると容赦なく咬み殺しに来る、そのおかげで私は兄さんの攻撃を避けるのが得意になってしまったので万々歳という所である
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