IFフラン
「おい……何で、何でなんだよ……!」
スタンハルバードを杖代わりにしてフラつきながらランディは立ち上がる。その近くにはロイドが、エリィが、ティオが、ワジが、ノエルが、ランディ以外の特務支援課の者達が地面に倒れて気を失っていた。
距離を置いて、有り得ない程長大な槍を握る女性はその場にそぐわない柔らかな微笑を浮かべて言う。
「何で?そんなの分かり切っているだろうに。君達にこれ以上『計画』を邪魔されると迷惑なのでね」
「そんな事を聞いてんじゃねぇ!」
スタンハルバードを構えず、穂先を地面に付けたまま。戦意などないと言いたげにしている彼にどうしようもなく愛しさか込み上げてくるが、『全て遅い』。
息も絶えだえで、ランディは続ける。
「……いつからだ?」
一瞬何の事かと首を捻りかけたが、ああ、とフランは納得する。
「……簡単だ、猟兵団を抜けた時さ。力が欲しいのなら、更に強くなりたいのならとあちらから勧誘があってね、それに乗ったまでさ。最も、遊撃士となってからはあまり『此方』で活動していなかったがね。故に知名度が低いのは仕方ないかな」
「俺達に近付いたのも……仕事か?」
「……いいや」
目を僅かに伏せ、首を横に振る。
「完全に偶然で、遊撃士としての私で出会った。だから君への気持ちも、特務支援課諸君と共に行動していて感じた心地よさも、全て本物の気持ちだ。だが――」
フランはブン、と槍を振るい、先端をランディに向けた。
「遊撃士の前に、私は此方の側の人間でね。それとしての役割を果たさせて貰おう」
「上等じゃねぇか……!」
足を肩幅に開き、スタンハルバードを構えるランディ。
「俺が勝ったら戻ってきてもらうぞ、フラン」
「ならば私が勝ったら、ランディ―――私を諦めたまえ」
「っ!」
一瞬、ほんの一瞬だけ寂しく笑ったフランは表情を引き締めると高らかに叫ぶ。
「『身喰らう蛇』が使徒、八柱を我が盟主より賜る《神判者》ランチェスター…………これより、『計画』に立ち塞がる障害を撃破する!!!」