クロバレ


「あー」

「げっ、見つかっちまったか」

しーっと人差し指を口元に当てて『内緒にしてくれ』のサインをしながらクロウが見つめる先の二階の窓には、身を乗り出して自分を見下ろすバレンシアが居て。午前中の休み時間……にも関わらず荷物を抱えて下の道を歩いているクロウ。これが意味する事など彼の行動パターンを多少知っていれば直ぐにでも分かるだろう。
バレンシアは窓枠に頬杖をついてジト目でクロウを見下ろす。

「サボりいっけないんだー」

「いや、これには深い事情があってだな?」

「聞いてあげる」

「帝都でちょいと賭けを、」

「サラきょうかーん!」

上体を起こして腰を捻り、後方に呼びかけるバレンシアに嘘だっての!と慌てて訂正するクロウ。

「……ま、冗談は置いて。普通に野暮用だ。ま、夕方には寮に戻るから心配すんな」

「じゃあお土産宜しくねー」

再び頬杖を付いたバレンシアはヒラヒラと手を振ち、クロウは呆れたようにガシガシと空いている方の手で頭を掻いた。

「おいおい、貧乏学生に集る気か?」

「口止め料」ニッと笑ってピースするバレンシア。これは断れないだろうと溜息をついたクロウは「俺の好みだから期待はすんなよ」と適当に手を振り、校門に向かっていった。


2014/09/14



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