そしてまた同じ道を
※Attention※
・閃U終章してカッとなってやった。
・とても捏造。
・続くかなと思ったけど続かなかった。
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「道は俺が切り拓く―――行け、リィン!!」
「判った―――クロウ!」
《紅き終焉の魔王》が繰り出す絶え間無い攻撃を、クロウの操る《オルディーネ》が全て斬り払っていく。その光景を、わたしは固唾を飲んで見守っていた。胸の高さで組んだ両手に力が篭る。力を籠め過ぎて手が段々と白くなってきているがそんなのは今瑣末な事だ。ただひたすらに、わたしはクロウとリィンの無事を祈る。
その最中で―――ゾクリ、と唐突に悪寒が背中を駆け上がり、わたしは《紅き終焉の魔王》の方を勢い良く見た。緋い機神はその長い尾を地中に刺していて―――
刺して、何をする?
「ッ!!クロウ―――!!!!!!」
『……!?』
立ち向かっていく《オルディーネ》の脇腹に、深々と《紅き終焉の魔王》の鋭い尾が突き刺さった。近くでZ組の皆の息を呑む音や動揺した様子が伝わってくるが上手く耳に入ってこない。頭が真っ白になる。
「クロウ!返事をしてよクロウ!!!!」
『カスっただけだ!―――立ち止まんな!!前を向いて、お前にしか出来ない事をやれ!』
その激励は《オルディーネ》の後方に居る《ヴァリマール》―――リィンに向けたものだろう。痛みに耐えるような声音でクロウが声を張り上げる。
『っ―――ああ!』
リィンはその言葉に返すと、握っているゼムリアストーン製の太刀に力を込めた。焔のような闘気が太刀全体を包んでいく。そして太刀を構えると駆け出し、
『八葉一刀流・七の型―――』
《紅き終焉の魔王》の懐に一息で入ったリィンは、
『無 想 覇 斬 !!』
その一刀で、《紅き終焉の魔王》の胴体を叩き切った。
セドリック様が囚われた『核』が顕になり、リィンはそれを強引に胴体から引き剥がす。直ぐ様『核』を抱えたままリィンは《ヴァリマール》でその場を離脱し―――後に残ったのは実体化が不可能になって消えかけていく《紅き終焉の魔王》の、壮絶な断末魔だった。
「クロウッ、クロウ……!!」
全速力で《オルディーネ》に駆け寄り、中から出てきたクロウの体を咄嗟に支える。脇腹に手を回した途端にぬるりとした感触がしたが、それに疑問を持つよりも此方に全体重を預けてきたクロウを支えるので必死になりながら、なんとかわたしはクロウを床に横たわす事が出来た。そしてそこで初めて《紅き終焉の魔王》に貫かれた時の怪我の惨状を目の当たりにした。
心臓の下、丁度脇腹の所。そこに深く、大きい穴が穿たれていた。どうしよう、と回らない頭を必死に動かしつつ、兎に角わたしは上着を脱ぐとそれを怪我の位置に当てて止血を図る。けれどこのままでは手遅れになると、わたしの『暗殺を主とするソネット家としての知識』が言っている。わたしは回復アーツを使えない、いや、使えたとしてもこの怪我だと―――
「バレンシアさん、下がってください!」
ぐいと誰かに左肩を掴まれて引っ張られて離され、入れ替わるようにクロウの傍に駆け寄って膝を折る姿。顔を上げてみればわたしの肩を掴んでるのはリィンで、駆け寄ってきたのはエマだった。エマはクロウの患部に手を翳して目を閉じると何か呟く。わたしが呆然としている間にエマの手が淡い光を帯び、それはどんどん輝きを増していく。視線をズラすとクロチルダも同じようにしていた。こっちは杖を掲げて、だけど。
「バレンシア、落ち着け。クロウなら絶対大丈夫だ」
信じているような、祈るようなリィンの力強い声が至近距離で聞こえてくる。リィンだって心配で堪らないだろうに。左肩に置かれた手の上にわたしの手を重ね、じっと治療の光景を見守る。
と、不意にエマの手とクロチルダの杖に帯びていた杖が輝きを失い、二人は手と杖を降ろす。二人の表情は曇ってて、そんな、まさか―――
「……嘘、だよね」
「バレンシア!」
リィンの手を振りほどいてクロウの手を慌てて掴む。クロウの手は―――……あれ?
「あ、暖かい……?」
握ったクロウの手は予想に反してずっと暖かくて。ええと、あれ?
どういう訳かと混乱してるとクロチルダがクスリと笑った気がした。
「安心して頂戴、一先ずは傷を塞いだわ」
よく見てみればクロウは目を閉じてぐったりとしたままだけど、それでも呼吸が整ってきているように見えた。
「じゃあ、クロウは、助かっ、」
ポタ、と手に涙が落ちる。助かって良かった、と言う言葉は込み上げて来た嗚咽に阻まれ、わたしは両手でぎゅっとクロウの手を握り締めながら涙を流した。