VDランフラ2022
「という訳で、バレンタインだ」
はい、と差し出されたのは可愛らしくラッピングされた小さな包み紙だった。如何にも『手作りしました』感の伝わるそれに、ランディはフランと包み紙を交互に見やる。
「もしかして……お前の手作りか?」
「いや、まあ。今年は休みだったしな」
「あの、菓子作りが苦手なお前が?」
「そうだぞ」
「毎年既製品だったお前が!?」
「ははは。このまま持って帰って良いんだぞ」
手を引っ込める。いやいやもう俺のだぞと慌てるランディは有難そうに贈り物を受け取った。ふわり、と香ばしくもほろ苦い匂いがしてくる。
「お、クッキーか」
「……まあ、味は悪くないと思うぞ。キーアやティオに味見をしてもらったからな」
気恥ずかしいのか、腕を組んで所在なさげに顔を背ける。色白な頬と耳が僅かに朱に染まっているのは、なかなか唆るものがあった。
「サンクス、フラン」
「有り難く食べるように」
「ははーっ」
わざとらしく包み紙を掲げて深く頭を下げてみればクスリと笑い声が降ってきて。
上着のポケットにそっとしまう。今年のバレンタインは、少し特別な雰囲気がした。
2022/02/14