機械音痴
「君にも渡しておこう」
ルーファスに手渡されたのは《RAMDA》と呼ばれる共和国製のオーブメントだった。《ARCUS》に比べたら随分と洗礼されたデザインで。
早々に迷彩化して姿を消したルーファスを他所に、フランは受け取った《RAMDA》の蓋を開け、液晶をじっと睨む。数度人差し指でポチポチと操作するが、一向にその姿が消える様子はなく。
……まさか、とスウィンが驚愕する。さながら亡霊でも見たかのようだ。
「あんた……機械音痴なのか?」
「意外〜。フーちゃん何でも出来そうなのに〜」
「……別に、苦手な訳では無い。少々疎いだけだ」
フイ、と視線を外したフランを見てルーファスが笑う。
「人智を超えた力を得ても、万能になるというわけではないのか」
「……」
じろり、と横目で睨みつけられる。
再びそっぽを向いたフランは上着のポケットに《RAMDA》を滑り込ませると、一足飛びで近くの屋根へと跳んで行く。
「こんな物が無くとも探索なんぞ出来る」
ヒラリと黒衣が舞い、姿が消える。残ったルーファスはやれやれ、と大仰に肩を竦めるのだった。
2021/06/01