不理解の怪物


「俺はお前のこと好きだぜ」

 結局のところ、生殖行動の延長上でしかないことを目の前の男は行う。愛だとか好きだとか、嬉しいとか寂しいなんてものが分からないわたしには、ただただ不理解な単語の羅列が耳に届くだけなのに。

「いま分からなくても、そのうち分かるだろ。俺がどんだけバレンシアを好きなのか」

 きっとそんな日は来ない。人殺しの怪物が人間になれる日なんて、一生来ないのだから。不理解な生物に向かって視線を向ける。
 紅い眼が、わたしを射抜いていた。


2019/07/31



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