ある日。

「………」
『ふ、ふふっ』


その動作に、サイクスは溜息をもらした。


「ナマエ…さっきから気になってるんだが…」
『んー?』
「何をしている?」
『んー。』


サイクスの質問を軽く流し、ナマエはその動作を続けている。


『のーびろー』
「いい加減離せっ。やめろっ」
『あっ!』


がたん、と立ち上がりナマエの魔の手から逃れる。


「まったく…」
『サイクスのけちぃいい!いいじゃん…いいじゃん!』
「俺はよくない。」


駄々をこねる子供の様にナマエは地団駄を踏んだ。


『うっ…ううー!』
「俺はこれでも気にしてるんだ。これ以上伸びたら適わん。」
『いいじゃん可愛いじゃん!』
「男が可愛くなってどうする」



身長差的にナマエの背の高さではサイクスのそこへは届かなかった


『お願いー!』
「ダメだ。」
『ううー……』



その場にへたり込むナマエを上から見下ろす。


「…ナマエ」
『バカ!浮気してやる!』
「なっ…」


ナマエの言葉に、サイクスは狼狽えた。
思わず声を荒げてナマエを呼び止める


「待て!」
『離せこのデビルイヤー!触らせてくれないサイクスなんか宇宙人に攫われてはらわたをぶちまけられてしまえー!』


さりげに非道く恐ろしい事を言ってのけたナマエに軽く泣きそうになる。


「わ、わかった!わかったから落ち着け!」
『ゔー…』
「好きなだけ、触ればいい…」


観念したように、はぁ、と溜息をつくとナマエは満面の笑みを浮かべた


『えへ!やった!じゃ、失礼しまぁす』


座るサイクスの前に立ち、ぐいぐいと、つい先刻と同じ動作を再開する


「…、何で……」
『んー?』
「何で触るんだ?」


その問いに目の前に立ちながらサイクスに触れていたナマエの言葉は。


『あのね、異国でね、おいしいお菓子があるの。』
「は?」


その言葉に顔を顰めた。そして言葉の続きを待つ


『だから似てるの。サイクスの耳と。』
「つ、つまり?」
『うん。だからおいしそうだなぁって』
「や、やめ…!」


がぶ。


『マズー。』
「当たり前だ!」
『とんがりコーンにそっくりなのに…そっか!』
「な、何だ…」
『塩とかかけちゃえば…』
「だっ、だだだ誰かナマエを止めてくれー!」


(大好きなあの人の耳はとんがりこーん!そっくりなのでした。)

それはある日の昼下がりの出来事でした。


END

だってとんがってるから…最と丸様好きなあの御方に捧げたいね…!勝手に!

06.8.6


イトハン