いっそ孕ませてやれば
楽になるのだろうか?
これが何なのか
わかるだろうか


ギシギシと軋む音と甘い声が室内に響く。


『ア、っ…んん……ぁ…』


暗闇で、二つの影が重なる


「……っ、ナマエ、締めすぎだ…」
『う、るさ…いっ…さっさとイってよ…ッ』


悪態を吐くナマエに少し腹が立ち、ゼムナスは最奥まで腰を押しつけた。


『あぁッ!ひ、ぁ…あぁあっ!』
「く、……また、先に…」
『んっ、ふぅあ……あ、あぁ、んぅ』


ナマエが何かを言いかけているのに気付き、唇を押しつけながら尋ねた。


「……何だ」
『ゼム……っ、つけ、て…っ』
「……?」
『ゴ、ム…!中にっ……出さないで…ぇッ…』


ああ、そうだった、とゼムナスは顔を顰めた。
ナマエとの条件。
それは必ず避妊する事。
それだけは守れと言われた。


「…別に、いいだろう」
『何、言って…!ふ、ざけ……んな…っ!あぁッ!』
「フン…どうせお前は我々の性欲処理の道具として生きてるんだからな」


そう言い放つと、ナマエの眉間に一層深く皺が集まった。


『死、ね……っ!』
「怖い事を言う、な…っ!」
『や、め…っ』
「はっ…逆らっ、……った、罰を受け取って、もらおうか…?」
『やめて…ッ、あ…っあ、ゼムナス…!出す、な……!』
「ん、む―――っ!」
『ひァっ、あぁッ!!』


ぐいぐいと腰を押しつけて全ての欲を吐き出す。
くちゅり、と卑猥な音が漏れた。


「…ふぅ……」
『何で、アンタ達クソ野郎は…』
「女らしい言葉を使え。」
『五月蝿い!アンタ達なんかみんな滅びろ!消えろ…っ』


泣くか、と思っていたのに、ナマエはただ荒く息を吐いて、ベッド脇にあるカーテンを引き裂いた。


「……つまらんな」


ナマエの泣いた顔など見た事がない。そう、誰一人。他の者が非道く扱ってやってもただ悪態を吐いただけだと聞いた。


別に泣かせたいわけではない。ただ、人間らしいところを見たいだけだ。


「…泣きたければ泣け。」
『誰が泣くか。早く退け!』
「犯され足りないか?」


胸の突起を舌で愛撫しながら呟くと、思い切り髪の毛を捕まれた。


『さっさと退いて。この変態クソ野郎』
「今の状況がわかっていないらしいな」
『な、んぅ……ッ!』


再び熱を持ち始めた自身。
ナマエと言う女は実に面白い玩具だ。
壊してやろうと何度も思った。
だが、この胸のモヤモヤは何だ?空洞だらけの心に、変な感覚。


『イ、………っヤ…!』
「嫌?良い、の間違いだろう?もっと鳴け」
『黙れ…っ』


ぐちゅぐちゅと結合部からは愛液の交ざり合う音。
ああ、自分のだしたものか、という意識を思考の隅に追いやった。快楽に嬌声をあげ、顔を紅潮させたナマエを見て、ゾワリと下から何かが這い上がってくる。


もっと、もっと欲を出して
私が満たされる程追い詰めてやればナマエはどうなる?いっそ孕ませて子が出来ればナマエは私のものになるだろうか?


「…それも、悪くない…」
『……あ…っ?』
「私だけのものになるか?」


気付いて、しまった。これは


『…ア、ぁんっ!…誰、が…!』
「……遠慮、するな…ッ」


とうに無くした"あい"と言う気持ちだ。


「まったく…厄介な事に……気付いたもんだ…ッ!」


二度目の絶頂。再び中に吐き出すと乾いた音が室内に響いた。


「…いきなり何をする」
『何するじゃない!二回も中に…っ、中に出すなんて!』
「何故嫌がる?」
『子供が出来たらどうする!』


そんな事なれば破滅、とでも言わんばかりの顔で怒鳴られた。


「…別に構わんだろう」
『……何?』


ナマエの顔が引きつる。
…そんな心底嫌な顔をしなくても


『何て言った?』
「孕んでも構わんと。」
『巫山戯んな。私は嫌だ』
「私は欲しいが?お前の子が」


そう言うとナマエは目を大きく見開いていた。
何だ、その顔。目が落ちそうだ。


「…どうした?」
『な、何言ってんの?バッカじゃない?私の子供が欲しい?アンタ脳味噌沸いてんじゃないの!?』
「本当の事を言ったまでだ。」


自分が思った事を言うと、ナマエの顔が見る見るうちに赤く染まる


『なっあ、おっ、おかしいんじゃない!?』
「…何が」
『ただの…"道具"に…そんな事、言うなんて!』


溜息を吐いて、ナマエの中から自身を引き抜いた。
ナマエの顔の傍に腕をついて鼻と鼻が触れそうな位置まで近づけば、ナマエは顔を逸らした。
その一つ一つの動作が


「…愛しい。ナマエ」
『………!』
「空っぽの胸の奥から何かが這い出るように熱く傷む。」
『だから…っ、何…』


耳に舌を辿らせて、甘噛みするとヒクリと震える躯に思わず苦笑う。


「…お前が、欲しい。お前の体、お前の心、存在、想い、全て」
『な、に…』
「お前と私の子が欲しい。」


偽りの言葉じゃない。
ないはずの心からそう思う。


「愛している。」
『勝手な男』
「誰にも渡さん。」
『ずるい……』
「お前も、私だけを愛せ」


頬を押さえ込み、弧を描いた唇で口付けた。舌を絡ませてやると遠慮がちに舌が絡み付いてきた
彼女に愛を教えてやって
彼女に愛を与えてやって
手に入れる
それが私の存在意義


(I Perform an act to have her know love.

END

是無は気付くの遅そうだ。
ヒロインが非道い扱いでスミマセン…!

06.9.16


イトハン